いざという時に助け合える関係性や「共助※」の心は、日頃のつながりから生まれます。今回は、マンション内での効果的なコミュニティ形成について、防災士の資格を持ち、数多くの支援実績を持つ長谷工コミュニティの田上がご紹介します。
※災害への備えを考えるとき、「自助」「共助」「公助」の3つに分けることができます。
「自助」とは、災害が発生したときに、まず自分自身の身の安全を守ることです。この中には家族も含まれます。
「共助」とは、地域やコミュニティといった周囲の人たちが協力して助け合うことをいいます。
市町村や消防、県や警察、自衛隊といった公的機関による救助・援助が「公助」です。(総務省消防庁ホームページより)
同じマンションに住む人が知り合って顔見知りになるのはとても大切なこと。挨拶を交わす住民がいるだけで日常生活に安心感が生まれます。特にいざというときの大きな支えになり、災害時の心強い「共助」につながります。
「現在お住まいのマンション内でご近所づき合いやコミュニティ形成は必要だと思いますか?」というアンケートでは、約60%の人が「はい」と答えたというデータもあります。
コミュニティ形成には、住民が参加できるイベント開催が効果的です。実際に開催されているイベントは、餅つきや夏祭り、ハロウィン、キッチンカーの出店や野菜販売会、「打ち水」イベントやAED訓練などさまざまです。
マンション内でのコミュニティ形成は必用?
必要だと思う理由の上位は「防災力・防犯力が向上するから」「助け合いができるから」など。
※「つなぐネットコミュニケーションズ」調べ防災訓練を実施する場合も、同時にイベントを開催したり、参加者に特典(野菜券や卵のつかみ取り券など)を用意するなど、楽しんで参加できる内容にすることで、参加者を増やすことができます。
継続的に取り組み続けることで、同じマンションの住民という一体感が生まれ、災害時の迅速な対応にもつながります。そしてそれがマンションの資産価値の維持・向上にもつながります。
世代に関係なく参加できて、気軽に交流できる
便利なサービスが身近で受けられるというのも人気の秘訣。
住民が集まってお茶を飲みながら交流します。
費用もほとんどかからず、定期的に開催できます。
キッチンカーの出店、野菜販売会、映画鑑賞会、靴磨き など。
季節を感じながら、子どもも大人も楽しめる
飾りつけをしたり、子どもたちが仮装をしてマンション内の住戸を巡り、お菓子をもらったりします。
環境に優しく、家庭の残り水を持ち寄るだけで実施可能。
餅つき大会、書き初め、節分の豆まき、ひな祭り、お花見、鯉のぼりづくり、七夕飾りつけ、夏祭り、クリスマス など。
イベントを通して、防災意識を高められる
実際に準備し、試食することで防災食に慣れておきます。
緊急時に困らないように、保管場所や内容を確認し、使い方を学びます。
緊急時を想定し、避難経路を確認し、体験します。
防災セミナー、家具転倒防止セミナー、お困りごと相談会 など。
共通の趣味を持つ仲間をつくり親睦を深められる
いちご狩りや地引網ツアーなど、住民が一緒に現地を訪れ、楽しむイベント。体験を通じてより深い交流が生まれます。
幼稚園や小学校入学前のお子さまがいる家庭同士が交流できる機会があり、喜ばれます。
サークル活動(ゴルフ、将棋、囲碁、フラダンスなど)、子ども会、野球チーム活動、演奏会など。
小規模なマンションにもおすすめのイベント
大規模な設備や広いスペースがなくても、少ない予算で実施可能なイベントはたくさんあります。例えば、クリスマスの飾りつけ、お茶会、打ち水、包丁研ぎ、映画鑑賞会など。共用スペースが狭い場合は、外部施設の活用を検討してもいいでしょう。
実際にイベントを企画したいけれど、「何から決めればいいのか」「どんな段取りで進めればよいのか」と悩まないために、イベント開催までの流れを整理し、企画から当日の運営、終了後の振り返りまでをチェックリストにまとめました。
※イベントの規模や実施内容、マンションの状況、参加する人数によって進め方などは異なります。スケジュール、作業内容は目安であり、無理のない範囲でご活用ください。コミュニティ形成支援の経験を活かし、お客様サービス部門を統轄。愛猫との時間がいちばんの癒し。