(素敵生活2017年7月 70号より)
池袋からほど近い東武東上線「大山」駅から徒歩3分と抜群の立地を誇る「グリーンパークドルミ大山」。地域のランドマーク的存在のマンションです。
こちらのマンションでは、共用部へのオートロックシステムの導入、および専有部全居室のインターホン改修などを行いました。
グリーンパークドルミ大山
所在地:東京都板橋区
竣工:1984年
改修したきっかけについてお聞きすると、「築年数が経過すると居住者のライフスタイルも多様化してきます。賃貸に出すことを検討される方も少なくありません。オートロックシステムがないため、マンション内に誰でも出入りすることができてしまったり、賃貸に出そうとしても、ネット検索で選択肢に挙げてもらうことができなかったり。これは何とかしなくてはいけないと思っていました。幸い資金計画上は問題なさそうでしたので、早いうちに問題解決できればと思いました」と理事長の髙橋さん。
さらに、防犯・防災担当理事の佐々木さんは「もともと、開放的な駐車場には問題がありました。隣接した広いゴミ捨て場に居住者以外の方がゴミを捨てていくし、タクシーなど外部の車がUターンに利用するし」と切実な理由を挙げられました。
まずは、長谷工コミュニティの担当者に長期修繕計画の再作成を依頼し、提出された計画が特に問題はないということがわかった上で、本格的に「オートロックシステムの導入」を検討。資金面での安心感を得たことにより、スムーズに合意形成に進むことができたそうです。
「改修にあたって大切にしたのは、居住者の利便性の確保でした」と髙橋さん。「セキュリティが向上しても、カギが増えて面倒、ゲートが開けづらいなど使いにくくなっては意味がない。毎日のことなので、不満がどんどんたまってしまいますから、利便性が落ちないようにしなくてはいけない。例えば自転車に乗ったままキーを使うにはどの角度でどの位置に機器を設置すれば使いやすいのかなど、何度も検証しました」と、かなりこだわられた様子。
「その甲斐あってか、不満の声が出たのは最初だけ。1年半余りたった今では、ほとんど問題はありません。動線が変わったことについての不満も、慣れてくるにつれて減っていきました」と結果にはまずまず満足が得られたようです。
「苦労した点は、どこにオートロックシステムを導入するのかということ。マンションのセキュリティと居住者の利便性を考慮して検討した結果、🅐正面エントランス、🅑駐車場出入口、🅒🅓駐輪場出入口(2カ所)、裏口の計5カ所に設置することに決まりました」ということです。
工事内容説明会はどなたでも参加できるように曜日と時間帯を複数設定して開催。事前に資料を配って疑問があればその場で解決しましょうと呼びかけ、丁寧な説明を心がけたそうです。
実験を兼ねて1カ所ずつオートロック機能を導入し、徐々に操作に慣れてもらうとともに、使いにくい場所をヒアリングし随時改修計画に反映するなど、工事箇所の十分な検証をしたことで、居住者の方々との「合意形成」がスムーズにできたとのことです。
オートロック用の非接触キーを配布するにあたって行った居住者へのアンケートから、規約に違反した利用方法(オフィスとしての使用など)が発覚したり、頻繁に出入りする親族以外の方を把握できたりしたことで、基本的なルールを再確認・是正し、防犯性を高めることができました。
この結果には、「状況がいろいろわかってよかったです。住んでいない人がいることや、独り暮らしの高齢者が多いことなど、居住者の構成もこちらが思っていた状況とは違っていて、今後の運営の参考になりました」とも感想を述べられていました。
今後の運用についてお聞きすると、「実は今回導入したインターホンを使って、居住者の安否確認をすることもできるんです」と佐々木さん。
「例えば、動体センサーを追加すれば、一定時間動きが検知されない場合に自動的に通報が入ります。独り暮らしの高齢居住者が増えていますので、将来的には有用な機能かと思います」。
ただ、「まだ全体的に導入するほどの必要性を感じている方はそう多くないようです。そのため、今回はインフラだけ整えておき、今後必要な時が来たらいつでも使えるようにしておきました」と、実際の運用は今後の居住者の方々の判断にゆだねたいとのこと。
オートロックによる安全性の確保とインターホンの交換で将来に向けた安心につながる改修を行い、資産価値を向上させたグリーンパークドルミ大山。今後も進化はまだまだ続きそうです。