2021/04/27

【マンションの資産価値を考える】
全住戸の窓ガラスを補助金の活用で高性能ガラスに
交換 結露が緩和され、省エネ&快適に

すてき度

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(素敵生活2018年7月 74号より)

「シティハイツ古川橋」では、今年度の大規模修繕工事に先駆けて、全住戸の窓ガラスを高性能ガラスに交換。資産価値はもとより、住み心地が向上した好例をご紹介します。

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シティハイツ古川橋
所在地:大阪府守口市
竣工:1984年

きっかけは経年劣化や機能など
窓ガラス不具合の声

大阪市内や京都へのアクセスにも便利な京阪本線古川橋駅から徒歩約10分の場所に立つ「シティハイツ古川橋」。

居住者から結露やサッシのがたつきを低減したいなど、窓に関する声が寄せられるようになりました。
そこで理事会で検討を重ね、「補助金制度を活用した窓ガラスの改修工事」を事業計画として立案、総会で決議・承認されました。

実施とコスト削減の実現に
向けた公的補助金の活用

当事業計画立案にあたり、まず経済産業省の「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金(※1)」に着目しました。集合住宅全戸の窓を改修すると、補助金が交付されるというものです。ただし交付申請には受付期限があり、必ず認可されるとは限りません。また工事完了後30日以内に詳細な報告書を提出しなければならず、補助金額はその内容や審査・現地調査によって決定します。

「次年度以降、制度の継続は未定でしたし、国の予算が削減される可能性もあるため、今が最適なタイミングだと思いました」と監事の今西さん(工事時は理事長)。
その後、申請手続きから施工、報告書作成まで業務を円滑・確実に遂行してくれ、製品品質も信頼できる大手ガラスメーカーを選定。加えて、区分所有者が住戸の窓ガラスなどを変更できなかった管理規約も将来、改修工事が実施できるように改定しました(※2)。

高性能ガラスへの交換の
メリットと工程

工事内容は、予算や窓の現況を考慮し、サッシはそのままでガラスを取り替え、戸車を交換することに決定。

採用した薄型・複層ガラス「ぺアスマート®」は、既存の網入板ガラスとほぼ同じ重量で、サッシへの負担は変わりません。最大の特長は、遮熱・断熱性の高さです。

室内の明るさはバランスよくキープしながら、夏期は日差しを遮り、紫外線をカット。冬期は室内の熱を逃さず、外気温との差で発生する結露を低減。一年を通して快適に過ごせ、光熱費節約にも貢献してくれます。

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5月に補助金交付申請、8月に認可され、工事は9月から12月初旬にかけて実施されました。

全戸すべての窓を交換するため、訪問スケジュールを組み、一戸につき2~3時間で施工。室内に入ることについても、皆さん協力的でスムーズに進行したそうです。

[廊下側の窓]防火基準を満たした不透視タイプのガラスに変えたことで、窓ガラスの網がなくなりすっきり。外側からは視界を遮る目隠し効果もあり、プライバシーが守られます。

居住満足度が上がれば
資産価値も向上する

無事工事が完了し、補助金は申請額より若干減額されたものの、修繕積立金で補填できる範囲内でした。新しい窓ガラスでひと冬を過ごされ、「結露しにくくなった」との感想が最も多いそうです。

「見た目も衛生的にもきれいになり、窓拭きやカーテンのカビ落としの苦労がなくなりました(笑)」と今西さん。このほか、「ガラスに網がないのですっきりした」「引き戸の滑りがよくなった」などの声も。暑くなるこれからは、遮熱効果にも期待ができそうです。

今春より、外壁塗装を中心とした大規模修繕工事を計画通り実施中。大通りに面した1階店舗前も整備され、建物全体の美観が改善する予定です

将来を見据えた修繕計画と時機を見極めた実施により、資産価値の向上の実現は居住者の心地よい暮らしに直結していることを実感できます。

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高性能ガラスへの交換をご検討中の管理組合様へ

  • 理事会の運営は、通常1年サイクルで、予算も年度ごとに決定されます。改修工事の検討から確定までには時間がかかるため、補助金を前提に予算組みする場合には、注意が必要です。
  • 高性能ガラスへの交換はサッシごと取り替え、使用頻度の高いバルコニー側のみ交換など、バリエーヨンがあります。ただし、各種補助金の申請はほとんどの場合、全窓交換が条件です。
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