(素敵生活2019年7月 78号より)
以前の集会室は殺風景な空間で、利用は予約制。稼働率は年間約5%と、有効活用されているとは言い難い状況でした。そこで棟の管理組合である「棟委員会」は、ラウンジ化に関する居住者アンケートを実施。説明会でさらに意見を吸い上げ、着工へ。委員の皆さんは毎週の会議や工事立ち会いを重ね、先頭に立って改修に取り組まれました。
その中で目指したのは、従来の規約を変更せずラウンジ化を実現すること。会議や貸し切り利用といった集会室の役割を維持したまま、棟居住者のフリースペースとして活用できるよう、細則を追加する等の変更がなされました。
そんなラウンジの最大の魅力は、委員の皆さんがホテルラウンジなどの視察を重ねて作り上げた、ラグジュアリーなインテリアです。斜め敷きのフローリングや、優雅な椅子、くつろぎの色調にBGM。ホテルライクな空間演出には、特に女性たちの感性が生かされたのだと言います。
さらにエントランスやトイレなど他の共用部とともに、バリアフリー化もなされています。
現在はたくさんの利用者がこの場所を訪れ、憩いの時間を過ごしています。シルバー世代の皆さんが昼食会を開いたり、中高生が自習室として活用したり、親子連れがお茶を楽しんだり。
ここで来客に対応する人も多く、1杯100円で飲める本格コーヒーも大人気。幅広い世代に愛される空間となっています。
また、遮音が施されているので、貸し切り利用のパーティーや、サッカーの「パブリックビューイング」も盛り上がります。
委員会のこだわりが、マンションライフを楽しく彩っています。
また防災拠点としての機能強化も、八木さんのこだわりでした。改修を機にラウンジ専用の分電盤を新設。発電機をつなげれば、停電中も独立した電源を確保することが可能です。また各戸とつながるインターホンも設置され、非常時には各家庭や本部との連絡窓口として活躍する、いわば「対策本部」の機能も備えることとなりました。
フリースペース、パーティールーム、会議室、そして防災拠点として…いくつもの機能を併せ持つマルチスペースの誕生について「みんなが楽しんで工夫したので、苦労したと感じたことはない」と語る八木さん。
委員としてのモットーは“合意形成の基本はコミュニケーション”なのだそうです。
居住者同士が自然に触れ合うラウンジは、新たな対話や楽しみを生み出し、マンション全体にとって素晴らしい財産となるのではないでしょうか。