マンションの安全を見守る自動火災報知設備とインターホンは、更新を一緒に行うのがおすすめです。それはなぜなのか、実際に同時更新したマンションの例から考えます。
自動火災報知設備と
インターホンのしくみ
自動火災報知設備とインターホンは密接に連動しています。住戸内の感知器が煙や熱を捉えて火災を感知すると、火災信号がインターホンの親機へ送られるとともに、インターホン親機から管理員室の火災受信機にも送られます。同時にインターホン親機と玄関子機、共用部の音声警報装置(スピーカー)が鳴動し、居住者に火災を知らせるしくみになっています。管理員室の火災受信機には、火災が発生した階や区画が表示されるため、どこで火災が起きたのかがすぐにわかります。警備会社と契約しているマンションでは、その警報が自動的に警備会社や管理会社へも転送されます。

火災感知器の種類
マンションの住戸内に設置される火災感知器には、温度の急変を捉える差動式と、一定温度で作動する定温式があり、設置場所に応じて使い分けられています。差動式は急激な温度上昇を感知して作動するため、住戸の居室などに設置され、定温式は一定以上の温度になると作動するため、キッチンや押入れなどに設置されています。
差動式

急激な温度上昇を感知して作動。住戸の居室などに設置されている。
定温式

一定以上の温度になると作動。キッチンや押入れなどに設置されている。
更新のタイミングと、
同時更新をおすすめする理由
自動火災報知設備とインターホンは連動する設備で、どちらも設置後15〜20年が更新の目安です。目立った不具合がなくても部品は劣化し、誤作動や通話の不具合につながることがあります。故障してしまうといざという時に作動しないリスクもあるため、更新時期が重なる場合は、同時更新を検討しましょう。
同時更新がおすすめの理由は、次の3つです。
おすすめの理由 01
住戸内工事を一度で
済ませることができる
おすすめの理由 02
居住者の日程調整や
在宅負担を減らせる
おすすめの理由 03
機器や施工をまとめ、
費用を抑えられる場合がある
自動火災報知設備&インターホン
同時更新の実例
クレストフォルム門前仲町古石場
所在地
東京都江東区
竣工
2002年
総戸数
42戸
建物
地上10階建て

築20年を超え、更新時期を迎えていた同マンション。大きな故障はなかったものの、自動火災報知設備とインターホンを同時に更新しました。その経緯と工事後の変化を、前理事長に伺いました。
築20年を超え、設備更新を検討
自動火災報知設備とインターホンは更新時期を迎えていました。大きな故障はありませんでしたが、管理会社からの提案を受け、理事会で更新の検討を始めました。
インターホンは実機を見比べ、機種選定
インターホンのメーカー2社の実機を集会室に並べ、居住者が画面の見やすさや操作方法を確認できる説明会を開きました。機能には大きな差がなかったため、デザイン性や価格とのバランスを考えて機種を選びました。
二つの設備をまとめて更新
自動火災報知設備とインターホンは連動しているため、別々ではなく同時に更新することにしました。別々に更新するよりも工事費を安く抑えられるうえ、各住戸での工事や在宅対応を一度で済ませられる点も決め手でした。
日程を調整し、約2週間で完了
各住戸から工事希望日を募り、宅配便が集中しやすい年末年始を避ける日程を選択。共用部の機器と住戸内のインターホン、火災感知器を順番に交換しました。工事は約10日間、消防による最終確認まで含めて約2週間で完了しました。
旧・受話器タイプのインターホンから、新しいインターホン親機へ。
機種選定、実は見えない制約がある
国内でマンション向けインターホンを製造しているのは、パナソニックとアイホンの2社のみです。今回の説明会では両社の実機を見比べる機会が設けられましたが、機種選定にはもうひとつ、見落とされがちな制約があります。機器選定にあたっては、インターホンと連携する火災感知器などの関連機器について、メーカー間の適合性も重要な検討ポイントとなります。
クレストフォルム門前仲町古石場では、このメーカー間の適合性を踏まえて検討した結果、最終的にパナソニックが採用されました。
また、玄関子機にカメラを付けるかどうかも、検討のポイントです。
エントランスの集合玄関機(オートロック)だけでは、居住者や訪問者、宅配業者等に紛れて、見知らぬ人まで建物内に入ってしまう「共連れ」を許すおそれもあります。玄関子機にもカメラがあれば、最後にもう一度、来訪者の顔を確認できます。工事費がやや上がる要素ではありますが、防犯性や資産価値を優先し、玄関子機にもカメラ付きの機種が導入されました。
設備が新しくなって気づいた
「あのときの不便」
更新前までは、火災報知設備にもインターホンにも大きな不便を感じていなかったという前理事長。しかし更新後は、「新しくなってはじめて、以前は意外に不便だったんだなと気づきました」と話します。住民からも「いざというときの安心感が増した」という声が聞かれ、インターホンも、玄関前カメラや自動録画によって防犯面の安心感が向上しました。
具体的には、旧式のインターホン時代、相手の顔が確認できないことを利用したいたずら(ピンポンダッシュ)も、まれにあったといいます。玄関前にカメラが付いたことで、そうした行為もしにくくなったのではないか、という見方です。また、来訪通知をスマートフォンに届けるオプション機能も導入されており、不在時に宅配業者へその場で持ち帰りを依頼できた実例もあったそうです。設備更新は、暮らしの安全と便利さを見直す機会にもなります。