「育てるインテリア」として人気を集める観葉植物には、さまざまな種類や特徴があります。インテリアショップが手掛けるグリーンショップで、インテリアの視点からおすすめの飾り方をお聞きしました 。
取材協力/ノードリウム・東京
グリーンバイヤーとして買い付け、売り場のディレクションを手掛ける曽我さんに、実際に店舗で多くのお客さまにアドバイスされている大切なポイントを教えていただきました。
「まず覚えていただきたいのは、『色』を揃えること。洋服をコーディネートするように、色を揃えてみましょう。マンションの壁の多くは白色だと思いますので、床色が濃ければ、葉の色も濃いめの植物を、逆に床色が薄ければ、薄めの葉をもつ植物を合わせます。
色を意識することで、空間づくりも簡単にまとまります」
空間をアップグレードする、
鉢カバーの選び方
色のイメージを決めたら、次は鉢の素材感を意識します。
「鉢の素材や色などを周辺の雑貨とリンクさせると、全体の統一感が出てきれいに飾れます。急に色や変化を入れずに、まずは白やグレーのタイプと合わせてみましょう。
また、目線を意識することも重要です。高さやバランスを調整して、目線に近づけるような位置に飾ってみましょう」
陶器
通気・排水に優れているため、植え込みに適している。植え込む際は底に穴が開いている鉢を選ぶこと。焼き物ならではの雰囲気でインテリアに温もりを与える。重量があり倒れにくいが、移動する際は底を引きずらないように注意。
セメント/スチール
陶器にはない素材感・表情に富んだタイプがある。ファイバーグラス繊維で補強したセメントは丈夫で軽く、パウダーコート加工を施したスチールは錆びにくいなど機能性に優れ、インテリア性も高い。
ウッド/ナチュラル素材
木材や蔓(つる)、樹皮や繊維などを用いた鉢カバーならではのリラックス感のあるインテリアが楽しめる。多くは簡易防水が施されているが、水がたまると劣化するため受け皿を入れること。
小ぶりなグリーンは、お気に入りの雑貨や本などと組み合わせて。さまざまな色の雑貨と素材感も意識しつつ組み合わせることで、コーディネートの幅が広がります。
テーブル上に高さの異なる植物を配置。鉢や花瓶の色、素材もインテリアに合わせてナチュラルな印象に。
シンプルなカウンターに、陶器や自然素材のプランターをバランスよく飾って。
収納家具のカラーを意識した飾り方。アクセントカラーにしたホワイトに合わせて、植物も明るい葉のものをセレクト。
植物をまとめてワンコーナーに。鉢などの色味は抑えて、空間に緑を足すイメージで。
温かみのある家具に、モノトーンの雑貨をディスプレイ。植物のグリーンもよく映える。
そのまま物を置くと生活感が出がちなオープンシェルフ。収納バスケットも使ってスッキリ飾る。
日差しの入らない場所の照明を、植物用LEDライトに交換。ガラスのシェードもきれいに映えている。
リビングなどに置く存在感のある大きな植物(シンボルツリー)は、葉の形状やユニークに曲がった幹や枝で空間に動きを出すことで、お部屋全体に明るく心地よい印象を与えてくれます。
空間が立体的に見えるように、高低差を付けた配置例。ボリュームのある植物は床置きでも存在感が出せる。
リビングのコーナーに置いたシンボルツリーと周囲の植物は、ほどよい距離感を保つようにバランスを工夫。
グレーを基調としたインテリアに植物で表情をつける。ハンギングが生み出すリズム感も効果的。
リビングの雰囲気を左右するシンボルツリー。鉢カバーの色味はアイボリーをセレクト。
広い室内に大型の植物を置き、明るいイメージをプラス。小さな植物よりも管理がしやすく、比較的育てやすい。
シンボルツリー選びのポイント
テレビボードの脇に置いた「エバーフレッシュ」は風にそよぐ姿も涼しげ。枝が伸びてテレビに被さるように育てていく楽しみも。
「植物を吊るすハンギングは、置くスペースが少ない部屋にもおすすめです。目線が上がるので、お部屋全体のスタイリングの幅も広げられます。葉が垂れる種類は見栄えもよく育てがいがあります」(曽我さん)
ハンガーラックを使ったハンギング。
ピクチャーレールを使ったハンギング。重厚感が出やすいテレビ周りも、グリーンをあしらうことで軽やかさが出せる。
「植物の影を映しても、お部屋の印象が変わります。葉や幹が密集しすぎていると影も固まり感が出てしまうので、ほどよく抜け感のあるものを選びましょう。上から光をあてて、床に映る陰影を楽しむのもおすすめです」(曽我さん)
葉の切れ込みが特徴的で、空間にも動きが出るモンステラの小ぶりな品種を、卓上で育てる。
植物の位置を調整して、サイドボードに飾ったアートにも影を落とす。
植物を育てるうえで大事なポイントをご紹介します。
日当りで注意することは?
植物は基本的に日光を欲します。日当りが悪い場所でも育つ品種もありますが、最低でも窓のある明るい室内で管理します。フェイクグリーンは窓のない部屋を緑で彩りたいときに取り入れましょう。
エアコンの風は良くない?
自然の風は新鮮な空気を運び、植物の健康や土の蒸れ予防にも繋がりますが、冷暖房(エアコン)の風を当てるのは厳禁。葉の乾燥や温度変化によって元気がなくなります。
置き場所で注意することは?
寒暖差の大きい場所での管理は避けましょう。植物も環境が変わるとストレスの影響を受けるので、なるべく置き場所を変えずに順応させます。
水やりの頻度が難しい…
土に合った量を与えること(与えすぎないこと)を意識します。次に、乾燥しやすい場所ではこまめに葉に霧吹きで水も与えます。霧吹きには、虫を寄せ付けづらくする効果もあります。原産地の近い植物をひとつのコーナーにまとめておくと、管理がしやすくなります。
水やりの管理が楽になる、
ハイドロカルチャーで育てる
ハイドロカルチャーとは、高温で焼いた粘土を使って植物を育てる水耕栽培のこと。水位計で水やりを管理できるのが特徴です。軽量なため、鉢の移動やカバーを替えるのが簡単で、土と比べて栄養素が少ないので成長が緩やか=植物の好みの状態をキープでき、虫もつきにくいので扱いやすいのがポイント。手軽に楽しんでみましょう。
「水位計を見れば水やりのタイミングが分かるので、初心者にも安心です。ノードリウムではハイドロカルチャーには珍しい、大型に仕立てた種類も揃っています」(曽我さん)
育てやすく人気のグリーン4種
「これらは育てやすさと家具との相性の良さで、多くのお客さまに愛されている、おすすめの品種です」(曽我さん)
フィカス・ベンガレンシス
(クワ科・イチジク属)
葉の表面に微毛が生えているゴムの木の仲間。落ち着いたやさしいグリーンの葉色がどんなお部屋にもなじみやすい。
フィカス・ウンベラータ
(クワ科・イチジク属)
生命力旺盛で、ハート型の葉をたくさんつける。白い幹と葉のコントラストがきれいで、明るい色の鉢やナチュラルなインテリアに◎。
フィカス・アルテシマ
(クワ科・フィカス属)
黄緑色の斑入りの葉が優しい印象で、オーク材の家具との相性が良くナチュラルな印象を与えてくれる。
エバーフレッシュ
(マメ科・コヨバ属)
日中は葉を開き日が落ちると葉を閉じるなど表情豊か。さまざまなサイズで流通し、環境によっては花をつけることもある。
ノードリウム・東京
NODERIUM TOKYO
東京都新宿区 新宿2-19-1 BYGS新宿ビル1F
営業時間/ 11:00~19:00
※水曜日定休(祝日除く)
TEL/03-3350-6011(アクタス・新宿店)
グリーンバイヤー
曽我広範さん
「店舗の接客時には白衣のユニフォームを着用しています。気軽にご相談ください」