2024/07/02

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冷房だけに頼らない夏の快適な過ごし方を知りたい

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エアコンの冷房がよく効いた部屋は快適ですが、長時間いると体の冷えやだるさを感じたり、そもそも冷房は苦手……という方も。電気料金の値上がりに伴い、その金額も気になるところです。
今回は、消費生活アドバイザーであり家電製品アドバイザーの和田由貴さんに、冷房だけに頼らない、快適な夏の過ごし方&冷房にかかる電気代の節約法などについてお聞きしました。

参考文献/『即実践! 即解決! 節約のプロがおしえる家計防衛術100』(和田由貴 著・辰巳出版)

人間の体感温度は、風があると2℃くらい下がると言われています。冷房だけで室温を下げるのではなく、扇風機の風を送ることで体感温度が下がり、冷房の設定温度を上げることができます。
最近主流になりつつあるDCモーターを搭載した扇風機を併用すれば、消費電力も少ないので、結果、エアコンとの2台使いでも電気代の節約になります。
DCモーター扇風機は、自然な風を送ることができ、音が静かなのも魅力です。
ただ、夏にもっとも憂慮すべきは外気熱やきつい日射し。室内の熱の7割くらいが窓から入ってくると言われています。熱の侵入をできるだけ防ぐために、遮熱カーテン(レース)は効果的です。より効果的な内窓の設置、複層ガラスなどの検討もおすすめです。

DCモーター搭載型の扇風機は、数千円~数万円と幅広い価格帯で販売されているので、予算に合わせて購入可能です。
BALMUDA GreenFan Studio/税込42,900円

冷たい空気は重く床のほうにたまりがちです。この冷たい空気をサーキュレーター(扇風機でもOK)で循環させることによって、室内の温度むらがなくなります。帰宅時に熱気が部屋にこもっているような場合は冷房が効くまでに時間がかかります。
そんなときは窓を開けて、外に向かって風を送ります。もう一方の窓(なければ換気扇でもOK)を開ければ、換気扇の役目を果たし、熱気が外に出て行きます(※)。その後に冷房をかけると早く温度が下がります。

※室内より外気温が低い場合

エアコンの吹き出し口は水平にし、下りてくる冷たい空気をサーキュレーターで循環させます。

上下・左右の自動首振り機能を組み合わせて空気を撹拌。
アイリスオーヤマ PCF-SDCC15T-W /税込11,800 円

エアコンの電気代は、室温と設定温度の差が大きければ大きいほどかかります。外出する際はこまめにエアコンを切ったほうがいいと考えがちですが、30分くらいの外出であればつけっぱなしのほうが効率がいいと言えます。
ちなみに、「冷房の設定温度は28℃」について勘違いしている方が多いようです。正しくは設定温度でなく室温の目安が28℃です。室温28℃以下、湿度が65%未満であれば熱中症のリスクは低いので、これを超えないようにしましょう。
湿度計のある温度計を部屋に置いて、気をつけてチェックしてください。40~60%くらいの湿度がもっとも快適に過ごせます。

エアコンのドライ運転には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2つの機能があり、「再熱除湿」の機能を使うと、 通常の冷房より電気代がかかります。弱冷房除湿とは弱い冷房をつけているだけの状態で、冷房よりも電気代はかかりませんが、あまり冷えず、湿気も取れません。多くのエアコンに搭載されている性能です。
一方、再熱除湿は上位機種に搭載されている性能で、部屋の空気を冷やさないで湿気だけを取ることができます。冷房と同じようにいったんエアコン内で空気を冷やし、エアコン内にできた結露を外部に排出して室内の空気を除湿します。そのまま冷たい空気を室内に拭きだすのではなく、冷やした空気を室温に温め直して吹き出します。温め直す分、電気代がかかるというわけです。これが「ドライ運転は電気代がかかる」と言われている理由です。
除湿機能を使うのであれば、自宅のエアコンの除湿機能を再確認してみてください。 そもそもドライ運転は夏の暑い時期に部屋を涼しくするための機能ではなく、梅雨時や、洗濯物の部屋干しの際など湿気を取るために利用するもの。夏の暑い時期に部屋を快適にするのであれば、冷房運転でOK。また、湿気を取るにしても冷房がいちばん取れるので、冷房をうまく活用するのがおすすめです。

エアコンの平均使用年数は13.6年(※)で、たいていの場合は故障して交換することが多くなっています。壊れて困る前に、12年くらいから買い替えの検討をはじめるのがおすすめです。

最新のエアコンは省エネ対策が優れていますが、じつは10年くらい前のエアコンと比較してもさほど差はありません。ここ10年くらいの間に購入されていれば、電気代が大きく抑えられるということはないでしょう。
シーズン中に故障すると、すぐに交換できなかったり、欲しい製品の在庫がなかったりしますので、シーズンが始まる前に試運転をして正常に動くかどうかを確認しましょう。最近は4~5月あたりから使用することもありますから、できるだけ早めのチェックが肝心です。
すでに夏本番ですが、じつはエアコンの買い替えはこれからがおすすめ。電気代は冷房より暖房のほうがかかるので、暖房費のカタログ値を意識して選ぶことのほうが電気代の節約には大切です。冷房費を気にする人は多いのですが、電気代がかかるのは暖房費。買い替えの必要がありそうなら、この冬に向けてエアコンを選んでみてはいかがでしょう。

エアコンの平均使用年数は13.6年(※)で、たいていの場合は故障して交換することが多くなっています。壊れて困る前に、12年くらいから買い替えの検討をはじめるのがおすすめです。

最新のエアコンは省エネ対策が優れていますが、じつは10年くらい前のエアコンと比較してもさほど差はありません。ここ10年くらいの間に購入されていれば、電気代が大きく抑えられるということはないでしょう。
シーズン中に故障すると、すぐに交換できなかったり、欲しい製品の在庫がなかったりしますので、シーズンが始まる前に試運転をして正常に動くかどうかを確認しましょう。最近は4~5月あたりから使用することもありますから、できるだけ早めのチェックが肝心です。
すでに夏本番ですが、じつはエアコンの買い替えはこれからがおすすめ。電気代は冷房より暖房のほうがかかるので、暖房費のカタログ値を意識して選ぶことのほうが電気代の節約には大切です。冷房費を気にする人は多いのですが、電気代がかかるのは暖房費。買い替えの必要がありそうなら、この冬に向けてエアコンを選んでみてはいかがでしょう。

和田由貴(わだ・ゆうき)さん

消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー

プロフィール

暮らしや家事の専門家として幅広く活躍中。
二児の母で、現役の“節約主婦”でもある。

快適度をアップするために利用したい方法やサービスは?

遮熱カーテンには熱を反射する特殊な糸が使われていて、室内温度の上昇をおさえます。

サンゲツAC2596/標準参考価格・税込46,310円
(幅200㎝×高さ200㎝の場合)

内窓の設置、複層ガラスへの交換は外気熱を防ぎ、電気代節約にもつながります。
※複層ガラスへの交換は管理組合への届け出、規約の確認が必要な場合もあります。

室内の熱風を外に逃す場合は、換気扇も活用できるため、いつもきれいにしておきたいものです。また、エアコンの汚れは冷房の効きと電気代にも影響します。定期的にクリーニングをしましょう。

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