2024/10/15

防災・防犯

地震に備えてキッチンの防災対策を教えてほしい!

暮らしの知恵Q&A

「東日本大震災発生時、キッチンの調味料や酒のガラス瓶が落ちて砕けて割れ、床は液体まみれに。後片付けにとても苦労しました。大ケガをする可能性もあり、震災を経験してはじめて防災対策をした整理収納の大切さを実感したんです」と語るキッチン収納コンサルタントの岩佐弥生さん。岩佐さんに「対策ゼロよりも、できることから対策を」という観点からお聞きしました。

冷蔵庫や食器棚はどんな対策をすればいい?大型家電や家具の転倒は大ケガに。突っ張り棒や固定具、耐震ジェルを活用します 冷蔵庫や食器棚はどんな対策をすればいい?大型家電や家具の転倒は大ケガに。突っ張り棒や固定具、耐震ジェルを活用します

冷蔵庫や食器棚などの転倒防止には突っ張り棒や固定具を使います。必要に応じて組み合わせれば強度が上がります。
レンジの転倒対策は、電子レンジと台との固定はもちろん、レンジを置く台や棚そのものも壁や床に固定することが望ましいとされています。大手家電メーカーでは電子レンジ専用の「転倒防止金具」を販売しているところもあります。ただ、「賃貸で壁に固定するのが難しい」「近々レンジの買い替えを考えている」「いきなりハードルが高い」という方は、ストラップ式の器具や耐震マットなどを使い、まずはやれる対策をしてみましょう。耐震マットは製品にばらつきがあるため「振動試験をクリア」しているなど、超強力タイプで耐震の表記がしっかりとされているものを選ぶと安心度は高まります。しかし、100%大丈夫とは言い切れないのが地震です。万が一のことも考えて、避難路をふさいでしまう可能性がある場所にはレンジなどの重い家電は置かないようにしましょう。

冷蔵庫の上に取り付けられたアイディールブレーン

背の高い家具や壁に穴を開けられない場合には、強粘着ゲルで取り付ける固定具もあります。

電子レンジ下に設置されたiHouse all 耐震ジェル 極

電子レンジの下にも耐震ジェルを敷くと安心です。

家具転倒防止グッズの効果についての図

出典)内閣府「できることから始めよう!防災対策 第2回」を元に作成

食器の破損をできるだけ防ぐ収納方法は?扉や引き出しには飛び出し防止対策を。食器は動かないように収納します 食器の破損をできるだけ防ぐ収納方法は?扉や引き出しには飛び出し防止対策を。食器は動かないように収納します

揺れによって扉が開いたり、引き出しが飛び出したりすると中のモノが落ちて散乱し、食器などは割れてしまい、後片付けも大変に。扉は引き出しにストッパーや耐震ラッチを付けて、飛び出し防止の対策をしましょう。さまざまな対策のなかでも「家具メーカーが推奨する耐震ラッチの取り付け」が一番安心です。

かんたんロックの設置例

耐震ラッチの取り付けのハードルが高い方は?

耐震ラッチがおすすめなのは分かるけれど、ちょっとハードルが高いという方は、取り急ぎストッパーでロックできるような対策を。特に引き出しは揺れで飛び出すことがあり、危険です(耐震ラッチがあらかじめ付いている扉もあります)。このストッパーはボタンを押すだけで簡単にベルトがはずれます。
なお、取っ手がついている食器棚であれば、「S字フック」を取っ手部分にかけるだけで簡単に対策できます。
防災を意識した収納法としては、大皿などの重い食器などは足元といった下段に、軽いモノは上段に収めるのがおすすめです。これにより、食器棚の重心も下がり倒れにくくさせることができますよ。

※粘着テープタイプのストッパーは経年劣化を鑑みて、1~2年に1回の貼り替えをおすすめします。

◎収納法でちょっとした工夫も!

食器を収納しているディッシュラック タワー S

横すべりしないよう、平皿を立てて収納できる収納用品もあります。食器を重ねて収納している場合は、棚板にゴム製のすべり止めを敷くと器類がすべりにくくなります。

収納グッズを使用して収納された食器類

収納グッズを利用して、食器が動かないように入れるのもおすすめです。細々した小物もまとまります。

台下収納に収まる大皿や保存ビン

キッチン台の下の収納は大皿などをラックに立てて。重い保存ビンの保管にも向いています。

キッチンにモノが多く不安です。何から始めればいいでしょうか?使う頻度の低いモノは別の部屋の収納スペースに収めます。 キッチンにモノが多く不安です。何から始めればいいでしょうか?使う頻度の低いモノは別の部屋の収納スペースに収めます。

キッチンの収納スペースは限られているため、キッチンにすべてのモノを置くことが難しい場合も考えられます。
例えば冷蔵庫上にホットプレートを置くなど、無理矢理キッチンエリアに危険な状態で収納するよりも、あまり使わないモノはキッチンに近いLDK や、別の収納スペースに安全に収めることを考えるのがおすすめです。

リビングの収納スペースに収められたキッチン用品

LDKで使うシーンが多いモノは、リビングの収納スペースに収めることで動線が短くなり、便利に使えます。

出しっぱなしの包丁スタンド

割れたり落ちたりすると危険なモノを、中に収納するだけでも安全性は高まります。出しっぱなしの包丁スタンドは防災対策としてはNG。

キャスター付きのラックの地震対策を知りたい!キャスターの対角線にストッパーをかけると動きを軽減できます。 キャスター付きのラックの地震対策を知りたい!キャスターの対角線にストッパーをかけると動きを軽減できます。

キャスター付きのラックは動かすことができて何かと便利ですが、地震のときは思わぬ方向に動いて退路をふさいだり、転倒したりして下敷きになる可能性があるなど危険が伴います。特に大きめのラックは調理器具や食器などの重たいものを収納することが多いため、必ずストッパー付きのものを選びましょう。
キャスターは4輪のうち2輪にストッパーが付いているラックがほとんどですが、ストッパーを対角線にかけることで動きが軽減できたという実験もあります(下記動画参照)。自分で組み立てる場合はストッパーが対角線になるように取り付け、動かすとき以外はストッパーをかけておきましょう。
移動させないのであれば専用の耐震ストッパーを取り付けておくと安全です。頻繁にラックを動かして使用する場合は背の低いラックのほうが安心です。

提供:一般社団法人防災機器検査協会、YouTubeにて公開

その他のキッチンの防災対策をピックアップ!

その他のキッチンの防災対策は?

  • 重いモノは足元収納

    揺れで落ちると危険な重いモノ、例えば、ジューサーやミキサー、ホームベーカリー、ホットプレートなどは足元に収納します。収納ボックスを利用すると収まりがいいです。

    重いモノが収まった収納ボックス
  • ガラスには飛散防止シートを

    食器棚は飛散の心配が少ないガラス扉ではないものを選ぶのがおすすめ。ガラスの場合はガラス飛散防止シートを貼るとよいでしょう。また、背の高い食器棚は転倒の恐れから食卓テーブルのそばに置かない方が安心です。

    ガラス飛散防止シートが貼られた食器棚のガラス扉
  • 調味料は隠す

    コンロ横に置きがちなスパイスですが、食器棚やキャビネットの中に据え付けられるスパイスケースが便利。“隠す収納”に使えるおすすめグッズ。

    スパイスケースを用いた隠す収納の様子

ひとつからでもOK!対策チェックリスト

やらないといけないと感じていても、また今度……と先延ばしにしてしまうことも。まずはひとつでもできることから始めることが大切です。ぜひ参考にしてみてください。

  1. 家電や家具は突っ張り棒と耐震ジェルで転倒防止
  2. 扉や引き出しはストッパーや耐震ラッチを付ける
  3. 皿の収納は棚にすべり止めマットを敷く(※)
  4. 引き出しに食器を入れるときはすき間なく入れる
  5. 包丁や割れて危険なモノは外に出さない
  6. モノは使う頻度で整理して、“見せる収納”より“隠す収納”にする
  7. 重いモノは足元に収納する
  8. ガラス扉にはガラス飛散防止シートを貼る
  9. ※地震の規模などによって、100%破損しないというわけではありません
岩佐弥生さんの正面写真

岩佐弥生(いわさ・やよい)さん

整理収納アドバイザー

プロフィール

キッチンの収納を得意とし、現在、個人・企業向けのキッチン収納コンサルタントとして活動中。

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