マンション専有部の電気に関わる設備が劣化すると、電気が使えなくなるなどのトラブルにつながる場合があります。適切な交換時期を把握して、計画的に入れ替えを進めておきましょう。
取材協力/パナソニック(株)エレクトリックワークス社
住宅分電盤とは…電力会社から供給される電力を、電灯・コンセント等の負荷に対し、適性かつ安全に家庭に供給するための電気設備です。各種のブレーカーが組み込まれ、家庭に送られた電気は分電盤を通して各部屋に分配されます。
住宅分電盤の役割
住宅分電盤の役割
どこに設置されているの?
玄関、洗面室、トイレ、キッチンなどさまざまな場所に設置されています。
仕組みはどうなっているの?
分電盤の内部には、①主幹ブレーカー(漏電ブレーカー) ②分岐ブレーカー(配線用遮断器)などの機器が収納されています。これらの機器が連系して電気の異常を検知し、自動的に遮断することで安全性を確保しています。
ブレーカー
電気を安全に使うために、電気回路で起こる異常事故から電線を守る、
安全装置として取り付けられる遮断器。
❶主幹ブレーカー
(漏電ブレーカー)
1.主幹ブレーカー(漏電ブレーカー)
屋内配線や家電製品が万が一漏電したとき、その異常を感知して自動的に電気を止めます。すべての電気回路を制御する「親」にあたるブレーカーで、火災や感電の事故を防ぐ安全装置です。
❷分岐ブレーカー
(配線用遮断器)
2.分岐ブレーカー(配線用遮断器)
各居室のコンセントなどの回路に電気を運びます。部屋別、用途別に分かれていて、容量以上の電気が流れると、その回路のみを遮断し家全体の電気が止まるのを防ぎます。
❸リミッタースペース
リミッタースペース
電力会社のサービスブレーカー(電力会社との契約電流以上の電流が流れると、自動的に電気を止める装置)が設置されます。
※スマートメーターの普及でサービスブレーカーがないものもあります。
住宅分電盤の交換推奨時期は、設置後13年とされています。ご自宅の機器の製造年月日(※)を確認しましょう。
※製造年月日は一般的に本体に記載。
出典)「住宅用分電盤遮断器の更新推奨時期に関する調査」報告書(平成8年3月/一般社団法人 日本電機工業会)
ブレーカーが落ちるのはどんなとき?
おもな原因には「過電流」と「漏電」があります。
過電流
電気の使い過ぎでブレーカーの定格電流値を超えてしまうと、ブレーカーが落ちてしまいます。消費電力が大きい家電を使用する時間をずらすなど、電気を利用する時間や場所を見直しましょう。
漏電
漏電検出回路の電子部品が経年劣化し、結露やホコリなどが基盤に付着して回路がショートすると、主幹ブレーカーや分岐ブレーカーが頻繁に落ちるようになります。
分電盤内の各ブレーカーが正常に作動しているかどうかは、以下の方法でチェックすることができます。
注意
居室内の電気を一時的に切ることになるため、パソコンなどの精密機器や、医療機器などの電源は事前に切っておきましょう。
主幹ブレーカー/漏電テストボタンの一例
主幹ブレーカーが「入」の状態で、「漏電テストボタン」を定期的(年1回程度)に押す。
動作に問題がなければ、主幹ブレーカーのつまみが「切」になり電気が切れる。同時に、押し込まれている漏電表示ボタンが飛び出す。
異常がないかを確認し、漏電表示ボタンを押し込み、主幹ブレーカーのつまみを「入」に戻し、電力を元の状態に復旧させる。
※漏電テストボタンを押しても変化がない場合は電気工事事業者にご相談ください。素敵生活サービスデスクでも承ります。
※メーカーにより、主幹ブレーカーのつまみを「入」に戻すと同時に、漏電表示ボタンが押し込まれるものもあります。
「最新の住宅分電盤」
住宅分電盤が広く普及し始めたのは1960年代から。ブレーカーの小型化などの改良に伴い、いまも進化を続けています。
1970年代〜
2000年〜
2025年〜
パナソニックの最新モデルは
空間に調和するデザインを実現
Panasonicが2025年に発売した「FLEXIID(フレキシード)」は、薄型で縦にも横にも取り付けることができ、天井や壁面に隙間なく設置できる。
地震や台風など、停電が起こるような大きな自然災害が起きたときには、通電火災を防ぐため、避難や移動をする前にブレーカーを切っておく必要があります。震災時の電気が原因となる火災対策には、「感震ブレーカー」が効果的とされています。
出典)「通電火災ゼロへ」(パナソニック)をもとに作成
通電火災
電気が復旧した際に、再び電源が入った暖房器具へ可燃物が接触したり、傷んだコードから出火したりして起こる火災。
◯通電火災の事例
マンション全体でまとめて更新することで、
マンションを通電火災から守ります。
感震ブレーカーの役割は?
感震ブレーカーは、地震の揺れを感知すると、自動的にブレーカーを落として電気を止める装置です。震度5強相当で作動します。
分電盤型感震ブレーカーとは?
分電盤型感震ブレーカーには、「内蔵型」と「後付型」の2つがあります。内蔵型は内部に空きスペースがある分電盤にセンサーを組み込むタイプで、いまは分電盤の交換時に取り付けることもできます。後付型は分電盤に外からセンサーを取り付けるタイプです。どちらも電気工事で設置するため、高い感震・遮断性能をもっています。揺れを感知してから3分後(※)に住戸全体の通電を遮断するため、避難を含めた一定の安全確保がされているのも特徴です。
※メーカーや機種により設定時間を変更できる場合があります。
蛍光灯の切り替えはお済みですか?
LED照明は従来の蛍光灯器具ではできなかった光の色や明るさを調節できるため、お部屋の雰囲気や用途に合わせて光を選ぶことが可能です。
蛍光灯の製造が終了する2027年問題とは
水銀および水銀を使用した製品によって起こる環境汚染の防止や、健康保護を目的とした国際条約(水銀に関する水俣条約)の締結に伴い、2027年末までに蛍光灯の製造及び輸出入が廃止されます。蛍光灯器具からLED照明器具に、早めのお取り替えをおすすめします。
蛍光灯器具からLED器具への変更方法
照明器具には交換に際し、工事が必要になるものがあります。
自分で交換できるタイプ
●シーリングライトなどの蛍光灯型
天井に配線器具が付いている場合は、既設の器具を外して交換できます。
機器ごと交換できるタイプ
●電球型
一般的には器具交換が必要です。
※口金や電球のサイズがあえば、ご自身でLED電球への交換が可能な場合もあります。
●蛍光灯照明器具
器具交換が必要です。
LED化のメリット
例)パルックLEDシーリングライト ライフコンディショニングシリーズ丸型タイプ(パナソニック調べ)
電気料金の節約
消費電力が低いため、使い続けるほどオトクになります。10年間で約25,000円が節約できます。
※適用畳数〜8畳の場合。
長寿命
LED照明の寿命は、一般的に10年以上。面倒なランプ交換の回数が減ります。
蛍光ランプを同じ形のLEDランプに
変更する場合の注意点
既存の蛍光灯照明器具をそのまま利用して直管蛍光ランプを直管LEDランプに交換する場合は、照明器具との組合せを間違えると発煙や火災の原因となる可能性があります。
また、蛍光灯器具メーカーの指定外ランプの使用となり、保証対象外となる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
直管LEDランプの焼損例 出典)一般社団法人日本照明工業会
出典)「【あかりの色についての意識調査】」(パナソニック)をもとに作成。
パナソニック株式会社は全国の20代から60代の男女を対象に、あかりの色に関する意識調査を実施し、今年3月に発表しました。部屋の雰囲気を変えるためにやろうと思っていることを聞いたところ、「照明の色を変える」は3位(26.0%)という結果になりました。
エリア:全国/調査対象:20代~60代の自宅のリビングもしくはダイニングに照明器具を持つ男女計800人
/調査期間:2025年2月19日~2月20日/調査方法:インターネット調査
LED照明には、調光・調色機能が搭載されているものが多くありますが、その色の種類にはおもにに4種類(「電球色」「温白色」「昼白色」「昼光色」)があることを知っているかどうかを聞いたところ、「よく知っている」と回答した人は36.3%で、あかりの色の違いを認識している人は3人に1人という結果になりました。具体的な色の種類や特徴については、まだまだ知らない人が多いことがうかがえます。
最近のLED電球は、それ自体に調光機能を備えたタイプが増えていて、下記の記事のように、色を変えたり組み合わせたりすることで、手軽にお部屋の雰囲気を変えることができます。ぜひ、あかりの色の変化を楽しみながら、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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