八重山ミンサーは、沖縄県の竹富島や石垣島で織りつがれる伝統の織物で、素朴な風合いや独特の絣模様が特徴です。その源流は、島の日常着であった藍一色の「ミンサーフ(ウ)」という帯。繰り返される五つと四つの絣模様は、女性たちが愛する人を思い「いつ(五つ)の世(四つ)までも、末永く...」という祈りを織り込んだものと伝えられています。
洋服の時代を迎え、一度は衰退しかけたミンサー文化ですが、伝統を守りつつ革新を志す新しいスタイルがその歴史をつなげました。特有の絣模様と手仕事の風合いはそのままに、あざやかな色彩やモダンなデザインを取り入れた洋服やバッグ、インテリアアイテムなどが職人の手で織り上げられ、国内外を問わず愛されています。
熟練の手技、丹念な手作業
心にも優しい、天然素材
時代にマッチした、伝統工芸品
八重山ミンサーの起源について詳細はわかっていませんが、八重山地方における綿の栽培は、琉球王朝時代の17世紀ごろ始まったと伝えられています。
人々の手から手へ織り継がれたミンサーは現代も愛され続け、手括りの絣模様があしらわれた藍色の帯は、八重山の伝統行事に欠かせない衣装となっています。
伝統的な八重山ミンサーは、およそ30もの工程を経て完成します。そのほとんどが手しごとによるもの。それぞれの工程を専門の職人が分業し、1反の布が織り上げられます。
意匠設計にはじまり、「絣括り(染色の際、絣模様の部分だけ染料がつかないよう糸でくくる作業)」、「糊張り(綺麗な柄を出すために糸を糊付けする作業)」など、多くの作業を経て生まれる八重山ミンサー。その最後の工程となるのが「製織(織り)」です。織子さんと呼ばれる専門の技術者が、丹精を込めて織り上げています。
現代においても織子さんには女性が多く、幅広い世代の方々が活躍中。手から手へと技術がつながれています。
多くの下準備工程がある八重山ミンサー。大きく分けて意匠設計、糸の種類ごとの染色、糊張りや「綜絖通し」といった糸の準備などが挙げられます。さらに、織りあがった布は多くの加工作業を経て完成品となります。
産地である石垣島や竹富島はもちろん、沖縄本島などにも八重山ミンサーのお店があります。石垣島には貴重な資料や制作工程を見学したり織物体験ができる施設も。また現在はインターネット販売も充実しており、遠く離れた場所からも八重山の文化を楽しむことができます。
石垣島の美しい風土の中にたたずむ「みんさー工芸館」。染色資料展示室や工房見学、体験プログラムなど、様々な角度からミンサーの歴史や技術について深く学べる施設です。
ミンサー文化の発信拠点である「みんさー工芸館」を営むのは、今回、取材にご協力いただいた織元「あざみ屋」。八重山ミンサーの継承に大きな役割を果たす企業で、伝統の逸品はもちろん、現代のファッションやインテリアの感覚を取り入れたアイテムも豊富です。
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