2020/10/08

資産価値

経年劣化した給排水設備を更新

【マンションの資産価値を考える】

各種設備等工事の成功事例

すてき度

SHARE

facebook twitter line

給水方式も変更して
受水槽の維持管理コストの削減にも成功

落ち着いた住宅街にたたずむラール箕面スカイハイツでは、2018年11月に給排水設備等の更新工事を実施。
事業計画検討時は理事長、施工時は監事として中心的役割を担われた第33・34期理事長の泉さんにお話を伺いました。

きっかけは劣化診断

きっかけは、30年以上の築年数経過に伴い、給排水設備の劣化診断調査を長谷工コミュニティが提案したことでした。
第33期にあたる2016年11月、目視や内視鏡による設備診断を行い、結果を報告。

詳細な報告書によると、状態良好な箇所もあるものの、劣化進行が著しく早期対策が必要であったり、2〜5年後には改善が望まれる設備があり、まとめて更新・改修することを理事会で検討。

もう1つの懸案事項だった駐車場のアスファルト舗装との同時施工が第35期事業計画として総会で承認され、説明会を経て、2018年11月〜翌年1月にかけて工事が実施されました。

83_shisankachi_05.jpg

新しい給水方式へ

これら給排水設備更新における最大のポイントが、給水方式の変更です。

83_shisankachi_03.jpg

従来は受水槽から加圧ポンプで各戸に供給する加圧給水方式でしたが、診断結果でコンクリート製の受水槽表面の腐食劣化が懸念されたこともあり、箕面市に確認したところ、直結直圧方式への変更が可能とのこと。

水道本管の水圧を利用して直接各戸に供給する直結直圧化により、受水槽や加圧ポンプが不要になり、維持管理費の削減につながりました。設備撤去後のポンプ室を有効利用できるというメリットもありました。

加圧ポンプを撤去。コンクリート製受水槽も不要になるが、撤去コストがかかるため、こちらは残置を選択。空いたスペースは近い将来、備品倉庫室として活用予定。

給水管を更新し、排水管を補修へ

給水管設備の中でも特に劣化が激しかったのが、給水立主管(A)や量水器1次側給水管(B)でした。配管継手部内に錆こぶの発生・肥大化が認められ、報告書に添付された画像でも一目瞭然。
D判定※の写真のインパクトが、早期更新をすすめる決め手になりました」と泉さん。

既設給水管を撤去し、耐久性のあるHIVP管を新設。一方、駐車場部に埋設されている排水管は、不具合箇所の補修のみに。管口の破損やヒューム管接続部の隙間、枡内への木の根侵入などを、アスファルトを掘削して修繕しました。

駐車場アスファルト舗装と同時施工したことで、舗装の仕上がりも統一されました!

※D判定:劣化進行が著しく認められ、早期(2年以内)対策が必要な状態

工事をコンパクト&スムーズに

着工前に提示された工程表を、施工管理経験のある泉さんが精査して、施工会社に相談したところ、工事日数や1日の作業時間短縮が実現。

「現場監督と少数精鋭の職人さんによる見事な仕事ぶりでした」。また、工期中は全戸および戸別断水や排水制限などが発生。

事前告知や週間工程表、進捗状況報告などを掲示・配布したり、仮設トイレを2基設置するなどの対策が講じられました。おかげで、居住者からは不便や不安の声もなく、着工から完了までスムーズに進行したそうです。

資産価値向上の意識で一致団結

2019年1月半ば、各戸メーター設備から市水道局のメーターユニットへの交換を終え、全工事が無事完了。「普段目にすることのない給排水設備ですが、水道水は毎日使うので更新されて気持ちがいいし安心ですね」と泉さん。

駐車場奥のポンプ室からは加圧ポンプが撤去され、スペースが生まれました。今後は、防災用品などを備え、倉庫として活用する予定です。 

低層4階建て・総戸数12戸という小規模マンションだけに、居住者全員の資産価値向上意識がとても高く、風通しやまとまりのよさはピカイチ。過去2回の大規模修繕を経て、5年前にはエレベーターを油圧式からロープ式に更新するなど、外観から共用部に至るまで、築36年とは思えない美観がしっかりと保たれています。

ラール箕面スカイハイツ

所在地:大阪府箕面市
竣工:1983年
管理:長谷工コミュニティ

関連記事

各種設備等工事の成功事例 新しい給水方式へ
Scroll