2023/12/20

防災・防犯

在宅避難を行うためのポイント

あなたの生活守り隊vol.3
日常から備えておきたい、防災の心得

すてき度

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近年の防災意識の高まりとともに、災害に対する備えについての考え方も大きく変化しています。なかでも大きな危険性がなければ、まずは自宅で避難を続け、ライフラインの回復を待つ「在宅避難」が推奨されるようになりました。
今回は在宅避難を行うためのポイントについて、NPO法人プラス・アーツの永田さんに聞きました。

私たちプラス・アーツは、防災教育・啓発活動を専門とし、日本各地の地域、行政、企業の人たちとも積極的に交流してさまざまな取り組みを行ってきました。そのなかで、以前から提案してきたのが、「避難所の現実を把握して、在宅避難を準備しましょう」ということです。次の代表的なリスクを見てください。

トイレ環境の悪さ

仮設トイレの設置には日数がかかります。
マナーの問題で不衛生な状況が続くと、トイレを我慢して体調を崩してしまうことも。

衛生を保ちにくい

お風呂に入れないことも要因のひとつ。
備蓄品のボディシートなどを活用することはできますが、人の目が多すぎると遠慮がちになり、回数が減る傾向に。

プライバシーの侵害

非常に大勢の人が出入りするのでストレスを溜め込みやすくなります。
疲労が取れずに不眠症になるケースも。

クラスター発生

不特定多数の人が密集し、ウイルスの感染者が増えると一気に広がります。

このような「リスクからの避難」に対する手段として、複数の選択肢から状況に応じて避難先を選ぶことを「分散避難」といいます。在宅避難のほか、親戚や友達を短期間だけ頼ることもあるでしょう。また、熊本地震では避難先の4割近くを占めたという車中泊を検討することも大切です。
最後に、実際に在宅避難を行えるのかを把握するために重要な、4つのポイントを紹介します。

自治体のハザードマップ
を調べる

自治体のハザードマップはホームページでチェックできます。
国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」では、市区町村を入力すると災害種別に
リスク情報を調べられます。

自宅の耐震性を把握しておく

耐震診断や耐震改修は、自治体の支援制度も利用できる場合があります。
建物の安全を守るためには、日常の管理や補修・修繕・改修も大切です。

家具の落下・転倒
の対策を立てる

家中が散乱してしまうと、在宅避難もままなりません。また、大きな家具が転倒したり、ガラスや食器が割れたりして、怪我を負う可能性もあるため、対策を講じておきましょう。

長期の避難生活を想定した
防災用品
を備える

防災用品のなかでも、ローリングストック(※)として使いながら備蓄する飲料水と非常食、
シート型の簡易トイレはまず優先的に備えましょう。

※食料や日用品を少し多めに購入し、日常生活で消費した分から買い足す備蓄の考え方

この4点を入念に考慮して、在宅避難に臨む準備を進めましょう。
私たちのように防災に携わり、さまざまな災害現場を知る者の感覚では、避難所とは覚悟を決めていく場所、最後の手段なのです。大切な家族を守るために何を優先するべきか。今から考えておきたいですね。

永田宏和(ながた・ひろかず)

特定非営利活動法人プラス・アーツ 理事長

プロフィール

2006年、プラス・アーツ設立。企業や自治体、地域団体とともに、防災教育のプロジェクトを展開。『防災イツモマニュアル』(ポプラ社刊)など著書多数。また、一般向けに暮らしの防災講座「防災イツモ講座」を数多く開催している。

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