再配達や単身世帯の増加が進む中、防犯性や居住者の利便性の面からも、宅配ボックス需要が高まっています。みなさんがお住まいのマンションでも宅配ボックスの導入やリニューアルを検討されてみてはいかがでしょうか。

昨今、不在による再配達の増加や、配達員の人手不足が問題になっています。荷物の置き配による盗難の心配なども課題です。最近では非対面での受け取りニーズも高まっており、荷物の受け取り方法を見直す必要があります。
こんな心配やニーズが
報告されています。
01社会的背景
02犯罪やトラブル


マンションに宅配ボックスがあれば、不在時でも荷物が受け取れ、再配達が減って配達員の負担も軽減されます。盗難防止や非対面での受け取りにも対応でき、防犯性・利便性の向上に加え、マンション全体の資産価値向上にもつながります。
宅配ボックスの設置目安は?
国土交通省の調査によると、マンションに宅配ボックスが設置されている割合は57.5%。竣工当初からの設置が49.2%、後から設置したのが8.2%です。設置ボックスの数は世帯数の30〜50%が目安とも言われています。サイズの構成比は60サイズ:80サイズ:120サイズ=4:2:2を目安に、マンションの利用頻度などに合わせ設置の際は台数とサイズのバランスを決めると良いでしょう。


最近のマンション用宅配ボックスは、利便性と防犯性の両立を目指して大きく進化しています。オートロックと連動し、配達員が認証キーで安全に建物内へ入れるタイプや、省スペースに設置できる薄型タイプなど、住まいに合わせた多様なモデルが登場しています。加えて、防滴仕様の屋外型や冷蔵・冷凍品に対応した温度管理機能付きボックスも普及し、設置環境や荷物の種類を問わず活用できるようになりました。すでに宅配ボックスを導入しているマンションでも、こうした最新機能を取り入れたリニューアルは、利便性・セキュリティ・住民満足度のすべてを高める取り組みとして注目されています。

01.冷凍・冷蔵ボックス
ネット通販やふるさと納税の利用が広がる中、食品などの冷蔵・冷凍品の宅配が増えています。営業所での保管期間は原則3日間と限られているため、不在時でも受け取りたいというニーズが高まりつつあります。こうした状況を受け、冷蔵・冷凍品に対応した宅配ボックスユニットも登場し、より多様な荷物の受け取りに対応できるようになっています。

02.インターホン連動
各社のインターホンシステムと連動し、荷物が届くと宅内のインターホン画面に通知を表示することも可能です。これにより、在宅時でも室内から荷物の到着をすぐに確認できます。


03.集会所のキーなどの
貸し出しに対応
マンションなどの共用部では、集会室の鍵やAED(自動体外式除細動器)、レンタサイクルなどの貸し出し管理にも対応した多目的型の宅配ボックスが登場しています。荷物の受け取りだけでなく、共用設備の運用を効率化できる点でも注目されています。

04.置き配システム
オートロック付きマンションの玄関前での荷物受け取りを可能にする「置き配システム」は、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社と連携。「再配達ゼロ」の実現を目指して導入が進みつつあります。

配達される荷物ではなく、登録済みの配送会社を認証し、オートロック内への入館を許可するシステムで、入館の履歴を管理することもできるため、高いセキュリティと安全性を実現しています。

最近、宅配ボックスの数を増やし、複数の荷物を一度に受け取れるシステムへの更新が増加しています。さらに、防犯性強化のため、最新のセキュリティ技術を導入するマンションも増えており、住民の利便性が向上しています。


ルネコンフォートアベニュー(大阪府)

2022年に宅配ボックスを新設した大阪のルネコンフォートアベニュー。導入の経緯について、当時の管理組合理事長にお話を伺いました。
具体的に導入を検討するきっかけとなったのは、管理会社からの提案でした。ただ、それ以前から再配達の負担は社会課題になっていましたし、私たち住民にとっても不便さを感じる場面が多くありました。今の時代に必要な設備と考え、導入することにいたしました。
設置場所はエントランスの自動扉と玄関ドアの間のスペース(風除室)で、美観を損なうことなく自然に収まりました。ボックスは120サイズと60サイズがそれぞれ10個、合計20個を設置。123戸のマンションですが、設置場所との兼ね合いもあり、この数に落ち着きました。
導入後は「便利になった」「再配達の手間が省けた」といった声が多数寄せられました。
築30年のマンションということもあり、高齢者の方も満足度が高いようです。
設置したのはエントランスの風除室。美観を損ねることなく、スペースに自然に収まりました。

取材協力・一部写真・画像提供:
日本宅配システム株式會社