暑さが続き、体温調節がうまくできなくなると、熱中症のリスクも高まります。冷たい飲み物は深部体温を下げる効果があり、暑さ対策にも役立ちます。今回は、管理栄養士のShieさんに、水分補給に役立つ簡単につくれるレシピのバリエーションをお聞きしました。充分な水分補給を心がけ、夏を活動的に過ごしましょう。
この先生に聞きました
この先生に聞きました
Shieさん
管理栄養士・料理研究家
プロフィール
大手食品メーカーでサラダや惣菜、調味料など数多くの商品開発に従事。2021年の独立後はレシピ開発やコラム執筆、料理や菓子教室の主宰など多方面に活躍中。
材 料
(1人分)
つくり方と調理ポイント
※ジュースは色が濃いほうが層がくっきりと現れるのでおすすめです。
※ガムシロップが無い場合は、砂糖と水を1:1で火にかけてつくることができます。
シロップ入のジュースのほうが比重が大きいため、炭酸水を静かに注ぐだけで二層に分かれる。
炭酸水
炭酸水も、もちろん水と同様に熱中症対策の水分補給として役立ちます。
熱中症対策には適度な糖分補給も大切ですが、甘い炭酸水は糖分の摂りすぎにつながるため、無糖タイプの炭酸水を選びましょう。
フルーツジュース
ビタミンやミネラルの含有量が野菜や果物と同等である、果汁100%のものがおすすめです。
材 料
(約500ml分)
つくり方と調理ポイント
※はちみつは砂糖でも代用できます。その場合の分量は、大さじ4が同等の糖質量です。
※氷を入れる場合は、その分薄まってしまわないよう、水の量と置き換えて入れてください。
※はちみつは 1 歳未満の乳児には与えないようにしましょう。
材 料
(約1L分)
つくり方と調理ポイント
糖分/ナトリウム
大量に汗をかく場合にはスポーツドリンクが適しています。糖分とナトリウムを一緒に摂取することで、腸管での水分吸収が促進されます。日本スポーツ協会によると、食塩(0.1 ~ 0.2%)と 糖質を含む飲料は効果的で、特に 1 時間以上の運動時には 4 〜 8%の糖質を含むものが疲労予防と水分補給に有用とされています。
カリウム/ビタミン
スポーツドリンクは自宅でも簡単につくれ、フルーツやハーブを加えたフレーバーウォーターにすれば、カリウムやビタミンも補えます。
材 料
(4人分)
つくり方と調理ポイント
※先に生クリームを泡だてておくことで、軽くやわらかな食感に。通常アイスをつくる際のように、1時間ごとに混ぜる作業を行わなくても滑らかに仕上がります。
※先に生クリームを泡だてておくことで、軽くやわらかな食感に。通常アイスをつくる際のように、1時間ごとに混ぜる作業を行わなくても滑らかに仕上がります。
甘酒
適度な塩分や糖分、アミノ酸、ビタミンB群などを含み「飲む点滴」とも呼ばれ、消化が良く熱中症予防にも適しています。水分補給では少量をこまめにとることが大切です。
アイスクリーム
1日に必要な水分の約半分は食事から摂取されるため、おやつやデザートを活用するのも有効です。冷凍保存が可能なアイスクリームは保存性に優れ、暑い時季の手軽な水分補給源としても役立ちます。
材 料
(約6杯分)
つくり方と調理ポイント
※砂糖の入れ方に偏りがあると、砂糖が溶け切らず残ってしまうため、分散して入れるようにします。それでも溶け切らず砂糖が残ってしまったら、キウイを崩さないよう軽く混ぜて下さい。
キウイ
キウイは熱中症予防に有用な糖、カリウム、カルシウム等のミネラル、ビタミンCをはじめとする抗酸化ビタミンなど、豊富な栄養素を含む魅力的なフルーツです。特に、ゴールドキウイのビタミンCの含有量は豊富で、1個で1日に成人に推奨される摂取量である100mgをほぼ満たすことができます。
酵素
キウイに含まれる酵素には、たんぱく質の消化を助け、吸収を促進する働きがあり、夏場に胃腸が弱りがちな方にもおすすめです。
材 料
(約1杯分)
つくり方と調理ポイント
ノンアルコール
アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出して脱水症状を引き起こす可能性があるため、飲料ではあっても熱中症予防には適していません。一方、モクテルであればノンアルコールのため問題なく取り入れられます。
トマトジュース
トマトジュースに含まれるリコピンには強い抗酸化作用があり、その力はビタミンEの100倍以上にもなると報告されています。生のトマトよりリコピンを多く含む傾向があり、さらに市販のトマトジュースを利用すれば、手軽かつ安価に摂取できるのも魅力です。
材 料
(約2人分)
つくり方と調理ポイント
アイスが型から取り出しにくいときは、アイスと型との間にペティナイフを差し込むと取れやすくなります。
※寒天液に冷たい状態でジュースを加えると、その部分だけ先に固まり、均一に固まらないことがある為、工程1で少し温めてから寒天液と混ぜます。
※寒天は酸味のあるものを一緒に煮ると、固まらないことがあるため、火を止めてからジュースを加えます。
※今回はりんご/ぶどう/野菜ジュースでつくりました。何種類かのジュースでつくり、タッパーで保存しておくと、色々な味が楽しめます。
寒天アイス
屋外作業やスポーツの機会が増える夏。熱い中溶けてしまうアイスは持ち運びが難しいものの、寒天で固めたアイスなら、液状にならずに保冷して持ち運びもできるのが便利な点です。
保存性
夏は屋内でも気づかず脱水が進み熱中症になるケースも多く、喉の渇きを感じなくてもこまめに水分補給をすることが重要です。寒天アイスを小さなブロック型にして冷凍しておくことで、保存性も高く、好きなタイミングでこまめに水分補給摂ができます。
熱中症の予防策(水分補給)
熱中症の効果的な予防策、水分補給の正しい知識について、熱中症対策のスペシャリストにお聞きしました。
出典)『熱中症からいのちを守る』(谷口英喜著/評言社刊)
出典)『熱中症からいのちを守る』(谷口英喜著/評言社刊)
「水以外には、何を飲んだらいい?」
好きな飲み物を飲んで構いませんが、注意点もあります。
市販のスポーツ飲料
たくさんの電解質や糖分を含むので、連日大量に飲むと糖分のとりすぎに。また、熱中症のときに体温を上げる作用のある、アミノ酸補給用の商品を飲むのはNGです。なお、牛乳もアミノ酸を多く含む飲み物です。
アルコール飲料
強い利尿作用があり、脱水を引き起こす唯一の飲料です。水分補給としては役にたちません。
「1時間に1ℓ以上の水を飲んではダメ?」
水分補給として、食事をとらずに真水ばかりを大量に(1 時間に1ℓ以上)飲む場合に限り、体液が薄まり塩分濃度が低下して意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたりする「水中毒」と呼ばれる状態になる可能性があります。これは熱中症の初期症状に似ていますが、塩分が含まれた食事や飲料をとることで防ぐことができます。
「飲み物を持ち歩こう」
汗をかく夏場は水筒などを持ち歩き、多めに水分を補給しましょう。必ずしも冷たい飲み物である必要はありません。
熱中症のウソ・ホント
その①
「熱中症対策には、とにかく塩分」説
「熱中症の予防に塩飴・梅干しを持たせる」
「暑くなるから、塩分の多いものを食べさせる」これって本当でしょうか?
答え:❌
塩分タブレットは、吸収されて全身に行き渡るまでに時間がかかるので推奨されていません。さらには、塩分単体では吸収効率も悪く、高ナトリウム血症を起こして危険なため、塩分は同時に多量の水を摂取させることが大切です。具体的には、塩分1グラムに対して、水500ml程度の摂取が推奨されます。
その②
「熱中症対策には、カフェイン入り飲料は避ける」説
カフェインには利尿作用があり、水分補給にはならないため「カフェイン飲料は飲まないようにする」これって本当でしょうか?
答え:❌
トイレが近くならない人であれば、カフェイン飲料でも水分補給になります。水分補給の習慣をつけることと、水分補給を無理なく行えることが大切です。
※飲み慣れていないお子さんにはカフェインレスを推奨しています。また、熱中症になってしまったら、カフェイン入りの飲み物や温かい飲み物は避け、脱水症状を素早く改善させる経口補水液を飲みましょう。
教えてくれたのは
教えてくれたのは
谷口英喜さん
医学博士
プロフィール
神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長。熱中症・脱水症に関する報道でマスコミに多数出演。専門は麻酔学・栄養管理・経口補水療法・脱水症対策など。
水分補給のための水筒など、持ち歩きができる「マイボトル」は広く浸透しています。お手入れ方法などユーザーから寄せられるお悩みについて、象印マホービンさんに聞きました。
取材協力/象印マホービン株式会社
「マイボトルに入れていいもの/いけないもの」
入れていいもの
お水
ミネラルウォーター、フレーバーウォーターなど。
お茶
日本茶、中国茶、紅茶、フレーバーティーなど。
コーヒー
入れてはいけないもの
塩分の多い飲み物
お味噌汁・スープなど(本体内側がさびたり、保温・保冷性能が低下する原因に)。
果肉・お茶の葉など
詰まる・漏れるなど故障の原因に。
牛乳・乳飲料・果汁など
長く放置すると成分が腐敗し、ガスが発生して内容物が噴き出たりすることがあります。
※炭酸飲料など、本体内の圧力が上がるものは専用のマイボトルをご使用ください。
「マイボトルのお手入れ方法」
①②蓋を外し本体を水ですすいでから、汚れがたまりやすい中栓やパッキンを分解します。
③ボトル本体や各パーツを台所用中性洗剤で洗います。ボトルの内部の洗浄には、ボトル用のブラシやスポンジが便利です。洗ったあとは、飲み口を下に向けて乾かしましょう。
こびりついた茶渋やにおいには、月に一度の漂白が効果的。ぬるま湯で満たしたボトルや部品に酸素系漂白剤を加えてつけ置きすれば、すっきりきれいに落とせます。しつこい汚れには、専用の洗浄剤を使いましょう。
いまは蓋とパッキンが一体型のものも販売されていてお手入れも便利です。
いまは蓋とパッキンが一体型のものも販売されていてお手入れも便利です。
●底のシールは剥がさない…ボトルの溶接箇所が露出するため破損につながり、保冷・保温効果が失われる原因になります。
いま人気のマイボトルは?
いまは持ち運びがしやすくキャップを開けやすい、ハンドル付きのマイボトルが人気です。容量もいろいろあるので、あらゆるシーンで大活躍してくれること間違いなし。いつでもどこでもたっぷり水分補給をして、熱中症を防ぎましょう。
※砂糖の入れ方に偏りがあると、砂糖が溶け切らず残ってしまうため、分散して入れるようにします。それでも溶け切らず砂糖が残ってしまったら、キウイを崩さないよう軽く混ぜて下さい。