地震や台風などの自然災害のリスクに備えるために、防災に対する意識を見直しましょう。多岐にわたる自宅の安全対策の取り組みの中から、今回はトイレの備蓄の重要性を紹介します。
今回は、在宅避難時に備えた「トイレ」の考え方を紹介します。地震が起きたとき、まず考えられるのは断水や配管の破損などです。マンションでは、下水道の排水管が破損している場合にトイレに水を流すと漏水が発生する恐れがあり、排水管の安全が確認できるまでは全室トイレの水使用を禁止したほうがよい状況もありえます。
ただ、トイレを我慢してしまうと、健康に影響を及ぼします。安心できるトイレ環境づくりのためには、市販の災害用トイレの準備が必要です。防災用として市販されているトイレのタイプは大きく2つに分けられます。
ひとつは簡易型と称される組み立て式の便器で、もうひとつは元々ある便器にかぶせて使う携帯型です。どちらにも凝固剤や消臭剤などがセットで含まれますが、使用済の便袋の保管場所の確保や回収、臭気対策については、後述のとおりよく考えておく必要があります。
災害用トイレ(簡易型)
多くは持ち運びがしやすい組み立て式でさまざまな形状があり、電気を使うものもあります。耐荷重が大きいものを選ぶこともポイントです。長期間繰り返し使いたい場合には、掃除用のウェットタオルなどで拭ける素材のものを選びましょう。
災害用トイレ(携帯型)
既存の洋式便器につけて使用する便袋タイプで、吸水シートや凝固剤で水分を安定させます。凝固剤に除菌(抗菌)効果や消臭効果のあるものを選ぶこともポイントです。凝固剤の固まる時間や持続時間も事前に把握しておけるとよいでしょう。
防災用トイレの必要量の目安は、1人のトイレ回数が1日約5回としても、その人数分×最低7日分。4人家族の場合は単純計算で140枚と大量です。
排泄後の便袋は燃えるゴミとして出しますが、ライフラインが復旧するまでには1カ月程度かかる場合もあります。まとめて密閉式の袋に入れ、バルコニーに置いた衣類ケースにポリ袋(ゴミ袋)に入れてためておくことで、より室内を清潔な環境に保てます。
防災用のトイレが足りなくなったときには、吸水性が高い新聞紙など、身の回りにあるものを組み合わせて代用できます。新聞をとっていないという方は、束で販売されているざら紙を用意しておけば安心です。
永田宏和(ながた・ひろかず)
特定非営利活動法人プラス・アーツ 理事長
プロフィール
2006年、プラス・アーツ設立。企業や自治体、地域団体とともに、防災教育のプロジェクトを展開。『防災イツモマニュアル』(ポプラ社刊)など著書多数。また、一般向けに暮らしの防災講座「防災イツモ講座」を数多く開催している。
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ラップポンの使い方
本体を組み立ててから便座を上げて、
汚物袋をセットして便座を戻す。
凝固剤を汚物袋に入れ、排泄する。
便座を持ち上げ、
レバーをゆっくりと引き上げると
熱圧着が開始される。
熱圧着完了の音が鳴ったら、
レバーをゆっくり押し戻し、
ラップ済袋を取り出す。