2024/10/01

マンション設備

【動画再生もSNSもスムーズに!】インターネット設備の基礎知識(マンション共用部編)

マンションのWi-Fiが遅い!つながらない!を解決

すてき度

SHARE

facebook twitter line

インターネットやWi-Fiの接続でお困りではありませんか? インターネットやWi-Fiの接続でお困りではありませんか?

待たされる!反応が悪い!
画面が固まったまま!

などの経験はありませんか?

インターネット、Wi-Fiが遅い!つながらない!

ご自宅の通信速度がどのくらいかを調べてみましょう

遅い、待たされるなどのストレスを感じるなら、ご自宅のインターネットの通信速度を調べてみましょう。パソコンやスマホでアクセスできる「みんなのネット回線速度」などの測定サービスを利用すれば、どのくらいの速度なのかを手早く確認できます。

みんなのネット回線速度サイトの参考画面

通信速度はbps(ビーピーエス/bit per second)という単位で表します。これは1秒間(second=セコンド)に送受信できるデータ量(bit=ビット)を表す単位で、この数値が大きいほど通信速度は速くなります。スマホやテレビなどで高画質なネット動画を快適に見るには、一般的に25Mbpsくらいの通信速度が必要になると言われています。

マンションのインターネットが遅くなる理由はさまざま

通信が遅くなる理由はいろいろありますが、マンションの場合、共用部のインターネットの接続のしくみに問題が存在する可能性があります。

インターネットが遅く感じられる原因のリスト インターネットが遅く感じられる原因のリスト

Wi-Fiルーターを買い替えることで通信速度が改善⁉︎

Wi-Fiルーターは、年月を経るごとに性能が劣化するといわれおり、3〜5年を目安に買い替えを検討する必要があります。また、最新のルーターは、より高速で安定した通信規格を採用している場合も多いので、環境の改善も期待できます。

バッファローのWi-Fi 6対応ルーター画像

最新の標準的な規格に対応したバッファローのWi-Fi 6対応ルーター「WSR-5400AX6P-BK」(2024年9月現在)

マンションのインターネットの仕組み マンションのインターネットの仕組み

共用部から各戸への回線に違いがあります

マンションのインターネットの設備は、建設当時の通信技術などによって異なりますが、主に4つの方式があります。ポイントは管理室(MDF室=主配線盤室)から各戸までの回線の方式。ここが光回線であれば、快適度は高まります。通信速度には「上り」と「下り」の二つがあり、メールを送ったりSNSに投稿したりするときは「上り」、動画やウエブサイトを見たりするときは「下り」の速度が重要になります。

あなたのマンションはどの方式?

マンションのインターネットの設備は、宅内に設置されている通信機器や壁のコンセント、ケーブルなどの種類で判断することができます。

VDSL方式

特徴

インターネットの通信基地局からマンション共用部の電話用のMDF(主配線盤)までを光ファイバーケーブル(光回線)で、MDFから各戸までを電話線でつなぐ方式です。既存の電話線を使用するため、通信速度は光回線方式より低下します。

最大速度

  • 上り

    100Mbps

  • 下り

    100Mbps

強みと弱み

  • 二重丸マーク

    既存の電話線を活用できる

  • バツ印マーク

    通信速度が遅くなる場合がある

  • バツ印マーク

    落雷の影響を受けやすい

  • バツ印マーク

    近々サービス適用終了の可能性がある

VDSL方式の仕組み図

CATV方式

特徴

光回線やケーブルテレビ(CATV)の回線を利用してインターネットに接続する方式です。共用部から各戸まではTVケーブル(同軸ケーブル)で接続します。

最大速度

  • 上り

    10Mbps

  • 下り

    320Mbps

強みと弱み

  • 二重丸マーク

    既存の同軸ケーブルを活用できる

  • バツ印マーク

    通信速度が制限される場合がある。
    特にデータをアップロード等する場合(上りの速度)に遅くなる傾向がある

  • バツ印マーク

    落雷の影響を受けやすい

CATV方式の仕組み図

シェアードLAN方式

特徴

共用部から各戸までをLANケーブルでつなぐ方式です。各戸の部屋の壁などにあるLANの差し込み口にWi-Fiルーターをつなげば、インターネットに接続することが可能です。

最大速度

  • 上り

    1Gbps

  • 下り

    1Gbps

(最大1Gbpsデータ量を複数の住戸で分け合う)

強みと弱み

  • 二重丸マーク

    VDSL方式やCATV方式より速い

  • 二重丸マーク

    Wi-Fiルーターが付属されている場合がある

  • バツ印マーク

    シェア型なので混雑時(他住戸の使用状況の影響で)に通信速度が遅くなる場合がある

  • バツ印マーク

    将来的に10Gbpsに変更できない場合がある

  • バツ印マーク

    落雷の影響を受けやすい

シェアードLAN方式の仕組み図

光回線方式

特徴

インターネットの通信基地局からマンションの各戸までの配線をすべて光回線で接続する方式です。マンション共用部の回線に混雑が発生しないので、常に一定レベルの通信速度を確保することができます。

最大速度

  • 上り

    1Gbps又は10Gbps

  • 下り

    1Gbps又は10Gbps

(最大1Gbps又は10Gbpsのデータ量を一つの住戸で専有できる)

*10Gbpsのサービスが提供されていない地域もあります

強みと弱み

  • 二重丸マーク

    通信速度が高速で安定している

  • 二重丸マーク

    月々の通信料金が下がる場合がある

  • 二重丸マーク

    10Gbpsのサービスに変更することができる場合がある

  • 二重丸マーク

    落雷の影響を受けない

光回線方式の仕組み図

※各方式が混在する場合があります。

回線事業者やプロバイダーとの契約は?

インターネットを利用するには、回線事業者とプロバイダーとの契約が必要です。前者はインターネットの回線設備を提供し、後者はインターネットへの接続やメールなどのサービスを提供します。それぞれと単独で契約する方法と、「光コラボ」のようにセットで契約する方法があります。

回線事業者・プロバイダーとの契約相関図 回線事業者・プロバイダーとの契約相関図
  • 回線事業者

    光ファイバーなどの回線を提供し、インターネットに接続するための物理的な設備を整えます。

    具体例

    NTT東日本・西日本(回線提供のみ)、KDDI・オプテージ・QTnet・JCOM・つなぐネット・ファイバービット等(回線とプロバイダーをセットで提供)

  • プロバイダー

    回線事業者から提供される回線設備を使って、ユーザーとインターネットをつなぎ、各種のサービスを提供します。

    具体例

    OCN、BIGLOBE(ビッグローブ)、So-net(ソネット)、@nifty(アットニフティ)、Yahoo!BB(ヤフービービー)、ASAHIネット、NTTメディアサプライなど

  • 光コラボ

    NTTの光回線を利用し、各プロバイダー事業者等が光回線とプロバイダーサービスをセットで提供します。

    具体例

    ソフトバンク光、ドコモ光、Rakuten光、So-net光、@nifty光、BIGLOBE光など

光回線導入のメリット お部屋まで光回線を引くことで、グンと快適に! 光回線導入のメリット お部屋まで光回線を引くことで、グンと快適に!

通信速度の大幅な改善が見込めます

お住まいのマンションの共用部がVDSL方式やCATV方式、シェアードLAN方式だった場合は、新たに光回線方式に置き替えることで大幅な通信速度の改善が見込めます。

光回線と光回線以外では通信速度の差が大きいことを表す図

月々の通信料金が下がる可能性があります

現在、各戸で個別に契約されている場合には、マンションの管理組合で一括契約することによって、月々の通信料金が安くなる可能性があります。

設備の省スペース化と安定性が高まります

管理室の設備が光回線を分岐するための装置のみで済むため、省スペース化が図れると同時に、電気やメタル線(銅線)を使用しないぶん落雷などの影響も受けにくく、通信の安定性も高まります。

マンションの資産価値が高まる

通信環境を最新の設備にグレードアップすることで、マンションの資産価値の維持・向上を実現することができます。

光回線導入のメリットが表されたイラスト
マンション全体で光回線方式を導入するには? マンション全体で光回線方式を導入するには?

管理組合の理事会が主導で行います

光回線方式の導入は、住民アンケート、構造調査、工事内容の確認などを行なった上で、住民への説明、総会を経てようやく実現の運びとなります。そのため、管理組合の理事会によるイニシアチブが大切になります。

光回線導入までのフローチャート図

光回線導入を実現した築30年弱のマンションの実例

〈当該マンション管理会社の担当者へのインタビュー〉

静岡県三島市にある築30年弱の小規模マンションでは、管理組合主導のもと各戸までの光回線の導入を実現しました。理事会による事前の住民アンケートでは、全20戸のうち18戸のみなさんが日ごろからインターネットを利用。スマホやパソコンでネット検索やSNSをご利用されていました。光回線を導入し、全戸一括型の契約を行ったことで、一戸あたりの月額利用料は数千円単位で下がりました。この「月額料金が安くなる」という点が、導入を実現できた一番のポイントになったようです。
 こちらの管理組合の理事は3名で、一年ごとの持ち回り制です。導入の検討段階において、住民の中からは「ネットを使っていないので、一括契約で月額料金がかかるようになっては困る」「現在利用している通信会社の契約を解約すると違約金がかかる」などの反対の声もありました。そうした意見に対しては「通信環境の改善はマンションの資産価値を高めることになる」「月額料金が大幅に下がるので、解約のためのコストを吸収できる」などの説明を、理事の方々が、丁寧に行われたようです。
 導入後は通信速度も安定し、住民の皆さんは快適にインターネットを利用されています。

光回線導入に関するQ&A 光回線導入に関するQ&A

光回線の導入にあたって気になるポイントを回線事業者のご担当の方にお聞きしました。

  • 光回線を導入することで、どのくらい通信速度は早くなりますか?
    通信速度にはさまざまな条件が関わってきますので、具体的にどのくらいアップするかを数値で示すことはできませんが、データ量を各戸で占有できるため、同じデータ量を全戸で分け合うシェアードLAN 方式などに比べ、より快適な通信が期待できます。また、通信の最大速度を10Gbpsでサービス提供している地域もあります。 光回線とシェアードLAN方式の場合の通信容量の違い 光回線とシェアードLAN方式の場合の通信容量の違い
  • いま使っているパソコンやスマホはそのまま使えますか?
    手持ちのパソコンやスマホは、そのままお使いいただけます。ただし、プロバイダーを変更された場合は、Wi-Fiの設定をし直す必要があります。
  • テレビやエアコン、照明などのスマート家電はそのまま使えますか?
    パソコンやスマホと同様、こちらも問題なく使えます。こちらも、プロバイダーを変更された場合は、Wi-Fiの設定をし直す必要があります。
  • メールアドレスは変わりますか?そのまま使い続ける方法はありますか?
    契約するプロバイダーが変更になった場合は、メールアドレスが変更になりますが、プロバイダーによっては解約後もメールアドレスをそのまま使い続けることができる有料サービス(月額200〜300円台あたりが目安です)もあります。
  • 光回線を導入することで、月額の利用料が大幅に上がることはないですか?
    現状の契約の内容にもよりますが、大幅に上がることはまずありません。むしろ、マンションで全戸一括契約をした場合は、月額の利用料金は下がる場合があります。
  • 光回線にすると固定電話をひかり電話に変えられると聞きました。いくらくらいになりますか?
    料金は月額で回線料金+基本プラン500円(税抜き)が目安です。(NTT東日本・NTT西日本の場合)
  • 光回線を導入した場合、プロバイダーは選べるのですか?
    光回線の契約は、個別契約型と全戸一括型の2種類があります。個別契約型であれば希望のプロバイダーを選べますが、全戸一括型では選べるプロバイダーが限定される場合があります。
  • 個別契約型と全戸一括型それぞれのメリットを教えてください
    個別契約型は、各住戸それぞれが希望するプロバイダーと契約できるのがメリットです。一方、全戸一括型は、導入費用や月額料金を安く抑えられる可能性が高くなります。
  • 光回線の工事にあたって、宅内への立ち入りはありますか?
    工事にあたっては、通信機器を設置するスペースへの立ち入りをお願いしています。
  • インターネットをまったく使っていないけど、工事をしなければいけませんか?
    光回線の導入にあたっては、基本的にすべての住戸で工事をさせていただくことになります。できるだけスケジュールに余裕を持たせる形で、ご対応いただけるタイミングで実施しています。
  • マンションの構造調査を行って、既存の配管に光回線が通せない場合は導入は不可能ですか?
    マンションの既存の配管に光回線を通せない場合は、新規に「露出配管」を行います。マンションの外廊下など共用部の壁や天井に、できるだけ目立たないように配管を行い、そこに光回線を通します。作業自体は内部配管に比べてコストも作業の手間も少なくなります。
  • インターネットは使っていないし、今後使う予定はないのに、月々の利用料が発生するのは納得がいかないのですが
    インターネットを使わない方にとっては、一見、無意味な出費に感じられるかもしれません。ただ、世の中の技術や利便性が高まっていく中で、通信設備を古いままにしておくと、いずれマンションの資産価値に影響が出ることも考えられます。エレベーターや照明、植栽などと同様、修繕や改修、日々の手入れが必要になる共用部設備、共有資産の一つとして捉え、維持・改善に向けて住民全体で協力していく体制が必要かもしれません。

関連記事

Scroll