焼きたての状態で楽しめるパンに、こだわりのコーヒーや紅茶。充実した一日を始めるために、料理の幅を広げるトースターに注目してみませんか。近年の製品は従来の「焼く・温める」機能が進化し、最小限の材料・手順だけで、パパッとおいしいトーストが味わえます。日常的に使う機会が多いこの便利な調理家電が、注目を集める理由とは?パン派が多い(!?)すてきテラス編集部員が、この情報を見逃すはずはありません。いまのスタイルにピッタリなモデルを見極めるべく、『家電Watch』編集長の中林 暁さんに、チェックすべきポイントを聞いてきました。『家電Watch』編集部の試食レビューも、ぜひご参照ください!
(※価格は税込み/掲載情報は2022年6月時点のものです)
一般的なトースターのイメージは、ヒーターで食材を加熱して調理するというものではないでしょうか。ですが、技術の進歩による近年のトレンドとしては、調理工程が細分化され、パンなら表面に焦げ目がどれぐらいしっかり付くかだとか、水分が逃げないように素早く焼くといったように、ひと口にトースターといってもメーカーごとの特色が明確になり、全体的にレベルが上がっています。
万能家電ともいえるオーブンレンジはそれこそパンも焼けますし、たくさんのことができて便利ではあるものの、売り場で眺めているうちに、「こんなにたくさんの機能は使わないかも……」と感じてしまう方も多いようです。それに比べてトースターの場合は機能がシンプルでありながら、1台で色々な料理が簡単に作れる製品も発売されています。
やはり、「おいしさ」に直結する商品ですし、まずは短時間でパッと焼けるということを基本として押さえつつ、それにプラスして自分の好みに合うものを見つけたい。実は、『家電Watch』もトースターの動向には注目していて、少し前に各社の比較をしています。今回は、その試食の経験を踏まえつつ、メーカー各社がこだわっている実際の焼き上がりという点に注目して選んでみました。
中までしっかりと熱を通す遠赤外線と、表面をしっかりと温める近赤外線、2つのヒーターを搭載したモデルです。パンの焼き上がりは、「外はカリッとしていて、中まで熱々」。例えば分厚い冷凍パンだと、中がしっかり焼けるまでに必要な時間が調整しづらいのですが、ダイヤルでメニューを選べば、あとは自動で時間を決めてくれて失敗知らず。表面のカリカリ具合と中のもちもち感のバランスが抜群で、この仕上がりがオートでできることに驚きました。温度制御のバリエーション、電気の出力を内部でとても細かく制御し、幅広いメニューに対応しています。パナソニックはモデルチェンジに積極的なので進化のスピードも速く、進化したモデルごとにこだわりの技術が見られます。また、最近では家電と一緒に食材を販売したり定額利用のサービスに取り組んだりと、食全体に目を向けて業界に変化を起こそうという、メーカーの高い意識を感じます。
食パンの枚数や厚み、焼き色、温度から焼き方を調整。厚切りや冷凍の食パンも、火力や時間設定なしの自動でサクッとおいしく焼き上げる
「オーブントースター ビストロ NT-D700」26,730円前後
高機能トースターの草分けであるバルミューダの最新モデルは、以前のモデルと見た目の変化こそありませんが、中身の温度制御などをアップデートしています。特徴として挙げられるのは、シンプルなダイヤル操作の組み合わせ。普通のパンやチーズトーストを焼くのか、フランスパンを焼くのかというモードを決めるダイヤルと、時間設定のダイヤルで、カチカチと鳴るタイマー音からも、アナログ的な雰囲気を大切に開発していることが分かります。また、給水口を使ったスチーム機能でパンの表面を薄い水分の膜で覆い、軽く焼けた状態にしてからヒーターで焼き上げます。このひと手間を加えるところからこだわりの調理を始めている気分になり心が躍ります。焼きムラが無い、窯出しのような香りのトーストが食べられるのも人気の理由です。
独自のスチームテクノロジーと細やかな温度制御。2つの技術がハイレベルなリベイク(パンの温め直し)を可能に。耐熱容器を使えば、焼き菓子や料理にも活用できる
「BALMUDA The Toaster K05」27,490円
ホットプレートのような形状の三菱電機の1枚焼きモデルで、具材がたくさん載っていてもしっかりと温める、密封断熱構造が特徴です。メーカーも生トーストと表現していますが、水分をしっかり残してバランス良く焼くことに重点が置かれていて、パン全体はしっかり、耳はしっとりという焼き上がりで、ふわっとした柔らかい食感が楽しめます。
食パン1枚サイズの庫内とプレート加熱方式で、きめ細かく温度調整しながらヒーターの熱を食パンにむらなく伝え、まんべんなく焼くことができる
「三菱ブレッドオーブン TO-ST1-T」33,000円前後
トースター人気を底上げした、ストーブメーカー・アラジンの最上位モデルです。0.2秒という極めて短時間で立ち上がり、水分を保ちながら素早くパッと焼き上げます。まさに操作した瞬間には焼き始めるので時短に貢献することはもちろんですが、このモデルは4枚焼きなのもポイントで、早くたくさん焼けるというアドバンテージを誇ります。加えてメーカーが注力しているのが高温・低温調理を始めとした多彩な自動調理機能で、新たに搭載したマイコンが温度を最適に調節してくれます。手軽においしいご飯を炊ける炊飯専用の釜や、グリルパンなど付属容器が豊富。多機能なオーブンレンジにも近い、新たな調理家電とも呼べます。1台で簡単に調理ができるので愛用者も多く、レシピ本も充実していますので、まずはどんな料理が作れるかを調べてみるのもいいでしょう。
付属のグリルパンはふたをして調理することで内部の温度を330℃まで高めることができ、焼く、煮る、蒸す、炊く、温める、オーブン料理など多彩な調理を楽しめる。本体のカラーバリエーションはグリーンとホワイト
「グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」39,000円前後
ウォーターオーブンの元祖、ヘルシオブランドのトースターです。水タンクは約40mLの大容量で、庫内を過熱水蒸気で満たして焼き上げます。パンの内部に水分を閉じ込めるので、中心まで高い熱量を与えることができ、しっとり感の高いふんわりとした仕上がりが特徴です。冷凍したパンはもちろんですが、製造から少し時間が経ったり、冷蔵庫で水分が減ってしまったりしたパンでも効果が期待できます。
熱風を対流させて、わずか90秒という短時間で焼き上げるモデルです。ヒーターで温めた風をファンで循環して食材を加熱し、油で揚げずに唐揚げを作るコンベクションオーブンという調理家電の仕組みに近いイメージです。冷凍パンでも素早く焼けるから水分がしっかりと残り、風味や甘みもきちんと感じることができます。メニューを選んでボタンを押すだけのオートモードと、自由に細かな設定ができるマニュアルモードを搭載しており、お手頃な価格の狙い目の商品といえるでしょう。
インテリアグッズやキッチン家電「Toffy」ブランドを取り扱うラドンナのクラシックモデルは、縦型2段構造というスリムな形状が特徴です。設置スペースを抑えつつ2枚焼きができて、上下のトレイで別々に調理することもできます。火力は3段階(280/720/1000W)で、左のダイヤルで切り替えます。親しみのあるレトロ調のデザインで、料理を楽しくしてくれそうな製品です。
ここまで各社のモデルを紹介しましたが、設置スペースに合わせたサイズ感や、パンくずを受けるトレイの有無といった掃除・分解のしやすさも、できれば店頭で確かめたいところです。なお、『家電Watch』編集部の試食レビューでは、焼き上がりの評価が世代によってで分かれました。私と同年代の40代のスタッフはこんがりと、20~30代ではふんわりとした焼き加減が好評でした。
トーストを焼く専用機としての使い方に限定したとしても、食事のレベルをしっかりと上げることができるような性能を各社が追求していますし、それこそが、いま新たに購入を検討する大きな理由になるといえます。トースターは、今後もますます身近なキッチン家電となっていくのではないでしょうか。
中林 暁(なかばやし・あきら)
プロフィール
2006年に日本初の白物家電専門のニュースサイトとして誕生した『家電Watch』(株式会社インプレス)編集長。「家電を買う前の“知りたい”を伝える」を基本方針に据え、多彩な情報を提供。なかでもレビュー記事は特に人気が高く、1480万を超す月間PV数を誇る(22年1月実績)。また、読者投票のグランプリ形式で好評を博す、年に1度の家電アワード「家電大賞」をトレンド情報誌と共同開催している。