帆布の用途は広く、バッグや靴などファッションアイテムをはじめ、アウトドアグッズ、キッチン小物など、さまざまな楽しみ方が発信されています。バッグ類のハンドルやベルトを交換てエイジングの過程を楽しみながら、10年20年と大切に使う方も多いそうです。
また丈夫で自然な風合いの帆布は、インテリアにも取り入れやすい素材です。木や革、アイアンなど質感の異なる素材と組み合わせるとよりスタイリッシュに。水にも強く、テーブルセンターやキッチン小物の収納など、食卓まわりのアクセントとしてもおすすめです。
帆布の持つ素朴でやさしい表情は、リビングスペースを明るく彩ります。お気に入りの一枚をタペストリーのように飾ったり、クッションや小物入れに取り入れてナチュラルな雰囲気を演出したり。自然素材の綿製品だからこそ、子供部屋にも安心です。
倉敷は、糸づくりから織物、染色、縫製など繊維産業のあらゆる技術を受け継ぐ「繊維のまち」。
江戸時代、児島地区の干拓地で綿がさかんに作られ、綿織物が一大産業として発展しました。時代とともに西洋の紡績や製織技術も取り入られ、学生服など新しい産業が創出されて行きました。その代表的な産物の1つが帆布です。
丈夫で通気性がよく軍用品や工業用品として重用された帆布ですが、合成繊維の台頭とともに需要は減少。その中でも倉敷の帆布は新しい価値をつぎつぎと生み出し、現在はファッションやインテリアなどさまざまなシーンで愛されています。
倉敷産の帆布はふわりと温もりのある風合いが魅力です。それを支えるのは熟練の技術。しなやかで強い糸を作る糸撚りや、微妙な糸の張り具合を求められる経糸の調整など、さまざまな工程を職人の経験と感覚が支えています。
また1960年代の「シャトル織機」が現役なのも特徴。ヴィンテージマシンならではのゆるやかなスピードがしなやかな質感や「セルヴィッジ」と呼ばれる美しい布端を織り出します。
今回、取材にご協力いただいたのは、130年以上にわたり伝統と技術を受け継ぐ倉敷帆布株式会社。大正時代の古い蔵が再生された「倉敷帆布本店」では、バックやインテリアアイテムなどの製品や、豊富な帆布生地に出会うことができます。