2022/04/25

インテリア

日本の美しいものづくり「播州織」

【特集】

伝統の技と新しい感性で暮らしを照らす

すてき度

SHARE

facebook twitter line

愉しむ

「播州織」は美しい発色や堅牢性が特徴で、自然の恵みと人の技によって織りなされるやさしい布の風合いが、お部屋やライフスタイルに溶け込みます。

さまざまな厚みの生地があるので目的やテイストごとに使い分けやすく、暮らしのコーディネートにぜひ取り入れていただきたい素材です。

vol89-traditional-crafts_img1

例えば、織りのしっかりとした生地なら、そのままかけるだけでテーブルクロスやライナーに。
また、カットジャガードをあしらったクッションカバーをアクセントとして置いたり、ふんわりとしたストールをアートとして額に飾ったりなど、簡単にインテリアへとアレンジできます。
コットンの爽やかさとやさしさ、豊かな色彩を日常の中で楽しんではいかがでしょうか。

vol89-traditional-crafts_img2

伝える

歴史を紐解く

兵庫県中央部、北播磨地域で生産される伝統のテキスタイル「播州織」は、木綿を主な素材とし、色とりどりに染め上げた糸で色柄を織り出す「先染め」という技法でつくられる織物です。

1792年、宮大工の飛田安兵衛(ひだやすべえ)が京都・西陣から織機づくりの技術を持ち帰ったのがその起源。元来、綿花栽培が盛んだった土地柄もあり、安兵衛創案の織機を用いた織物は、農閑期の副業として地域に根付きました。

明治後期以降は力織機が普及し、海外へも販路を拡大しながら北播磨地域は輸出向け織物の一大産地となりました。

vol89-traditional-crafts_img9

第二次世界大戦後には織機が「ガチャッ」と、1回動くたびに1万円儲かると言われた空前の好況「ガチャマン景気」も到来。高い品質と生産力により、国内外の一流ブランドに重用されるテキスタイルとなりました。
しかし1971年、1985年の2度の円高の節目で輸出不振から内需にシフト。また発展途上国の生産力増大などにより輸出向け商品は徐々に縮小することに。
現在、産地は長い歴史が育んできた伝統をベースに、ファッションやインテリアの分野で新しい魅力のあるテキスタイルや製品をつくり上げています。

環境の保全と共生

そんな播州織の特徴である美しい発色とやさしい肌ざわりをつくるのは、加古川、杉原川、野間川を流れる豊かな軟水。自然と共生するなかで発展した産地だからこそ、現在も環境保全の取り組みが盛んです。

例えば余剰糸は保管され、サンプル製品や、何種類もの糸をつないで新たな糸をつくる独自の機構「アレンジワインダー」で活用されます。また製織時に生まれる廃棄糸や残布をバイオエタノールや廃棄物固形燃料(RFP)として再資源化するなど、土地や資源、そして人を守るために多くの工夫がなされています。

創る

播州織の大きな特徴の1つが分業制です。企画やデザインにはじまり、染色、織布、加工まで、さまざまな企業や職人が地域に集結しています。その生産工程は多岐にわたり、各職人や企業の専門技術の集積により多種多様なテキスタイルがつくられます。

【播州織の生産工程】

vol89-traditional-crafts_img12

多くの専門家の連携によって、従来の主力であるシャツ地だけでなく、さまざまな厚さ、色柄、手ざわりの先染織物が生産できるのが播州織の魅力のひとつです。

その世界は幅広く、洋服、インテリア用ファブリック、バッグにマスクなど多彩。播州織とデザイナーのコラボレーションによるファッションショーも行われ、播州織でつくる新たなトレンドを発信しています。

また地域の企業のオリジナルブランドも続々と増えており、産地発信のアイテムに人気が集まっています。

こちらは播州織をつくる方々の想いが込められた動画。北播磨の豊かな風土の中で織りなされる播州織の美しさ、地域で活躍する若い職人さんたちの姿など、見どころがいっぱいです。

<取材協力>

公益財団法人 北播磨地場産業開発機構

TEL.0795-22-7676
〒677-0015
兵庫県西脇市西脇990 西脇経済センタービル内

POLS

ユニークで魅力的な柄も。
クッションカバー&ハンカチ

tamaki niime

“一点もの”ショールやインテリア小物
※外部サイトにリンクします。

iro-ori

多彩なデザインで包む。
ふろしき&アレンジ例もご紹介

Linen cloth(戸田虎織布株式会社)

毎日使いたくなるバッグや小物

関連記事

「播州織」は美しい発色や堅牢性が特徴 ギャラリー 播州織の大きな特徴の1つが分業制
Scroll