どこの町でも見かけることができる、リーズナブルでおいしく、ボリュームたっぷりのメニューを提供してくれる、昔ながらの庶民的な中華屋さん「町中華」がブームとなっています。食通で知られる音楽ユニット・ホフディランの小宮山雄飛さんも、「ひとりでよく通います」というほど、その魅力に惹きつけられているそう。
今回は、小宮山さんと一緒に都内の町中華を訪問。人気の秘密を探りました。
――まずは、小宮山さんと町中華との出会いを教えてください。
小宮山雄飛(以下、小宮山)
幼い頃、週末になると千葉の下総中山にあるおばあちゃんの家に泊まりに行っていました。そこにいわゆる町中華があって、父と一緒にお昼を食べに行ったり、出前を取ったりしていたんです。近くには中山競馬場があるので、昼から競馬新聞を片手に飲んでいるおじさんがいたりして……ちょっと大人の世界に足を突っ込んでいるようなうれしさもありました。今でこそ「哀愁漂う」といった感じでブームになっていますが、僕にとっての町中華は、週末だけのワクワクする外食という位置づけだったんです。
――まずは、小宮山さんと町中華との出会いを教えてください。
小宮山雄飛(以下、小宮山)
幼い頃、週末になると千葉の下総中山にあるおばあちゃんの家に泊まりに行っていました。そこにいわゆる町中華があって、父と一緒にお昼を食べに行ったり、出前を取ったりしていたんです。近くには中山競馬場があるので、昼から競馬新聞を片手に飲んでいるおじさんがいたりして……ちょっと大人の世界に足を突っ込んでいるようなうれしさもありました。今でこそ「哀愁漂う」といった感じでブームになっていますが、僕にとっての町中華は、週末だけのワクワクする外食という位置づけだったんです。
中華料理だけではなく、シューマイやカレーライスにソース焼きそばも! 豊富なメニューに驚く小宮山さん
――今、町中華に入ったら、初めに何を注文しますか。
小宮山 お酒を飲みたいので、つまみのカロリーはできるだけ抑えたいという事情があり(笑)、野菜炒めやシューマイ、漬物などを肴に、まずはビール、次は焼酎があれば焼酎を頼むことが多いですね。
――野菜炒めから頼まれるとは、なんだか意外です。
小宮山 野菜炒めはどこの町中華でもおいしいですよ。一般家庭とは火力も油の使い方も違うので、「プロの味」を堪能できます。
――シューマイはお好きなのでしょうか。餃子ではなく?
小宮山 メニューにシューマイがあるとうれしくなって、必ず頼みます。今は餃子居酒屋も人気が広がっていますし、一般的には「ビールには餃子」というイメージがありますが、実は、日本では餃子の登場以前にシューマイが庶民の間で広まっていたという説があるんですね。そのせいか、シューマイがあるお店=歴史ある店という印象が強い気がしています。
(※編集部注:諸説あり。シウマイ弁当で有名な崎陽軒の開業は1908年。宇都宮などで焼き餃子を広めたのは、戦後、満州からの引揚者によるものとされる)
広々した店内でいただく野菜炒めは、強い火力で野菜の旨味を引き出している。シューマイはボリュームたっぷり
――では、町中華で飲む魅力とはなんでしょうか。
小宮山 「気を遣わなくていい」ところが最大の魅力ですね。「ラーメンってこういう味だよね」「チャーハンってこういう味だよね」といった、我々の期待通りの味を楽しめますから、安心感がある。それがお酒を飲む際に邪魔をせず、ゆったり飲める。物珍しい料理って、それはそれで面白いのですが、そちらに気を取られてしまいますよね。気を抜いて飲めるのが町中華だと思います。
――今回訪れた、萬来軒さんの料理はいかがでしょうか。
小宮山 東京・千代田区にあるこのお店は、TOKYO FMとTOKYO MXがすぐ近くにあるので、番組が終わったあとに何度か来店したことがあります。定番の野菜炒めもおいしいのですが、今日初めていただいたカレーがおいしくて驚きました。豚肉がめちゃくちゃうまいカレーって、やっぱりいいですね。
写真右側が萬来軒の3代目としてメニュー開発や経営にあたる杉山さん
店主の杉山博文さん(以下、杉山さん) 毎週肉屋で仕入れる10kgの塊を、厨房でばらしています。チャーシュー用など料理によって部位を分け、細切れをカレーに使います。シューマイの肉は、味の濃い部分と、ちょっと脂身の多い部分、それと普通のスライスの3種類をミキサーで挽いて合わせているんです。
小宮山 焼きそばもソースがしっかりと絡んでおいしいです。
杉山さん ラーメンと焼きそばの麺は、浅草開化楼さんに特注し、せいろで蒸して仕込んでいます。浅草開化楼さんは創業70年、うちは創業92年ですから、長いお付き合いです。
萬来軒と浅草開化楼、ともに時代の荒波を越え愛され続けてきました
萬来軒と浅草開化楼、ともに時代の荒波を越え愛され続けてきました
小宮山 浅草開化楼さんは有名なラーメン専門店から人気を集める製麺所ですが、その創業時からお取り引きをされているとは、さすが歴史あるお店は違いますね!
今回訪問したお店
萬来軒
東京都千代田区平河町1-1-1
1931年(昭和6年)創業。人気メニューは5種類のチャーハン。カレーチャーハンはお客さんからのリクエストでメニューに採用されたそう。シューマイは肉のボリューム感がたっぷり。餃子はニンニクが効いたパンチのある味。お新香やメンマなど、できるだけ自家製にこだわっている。ビール(大瓶)は1本のみだと600円、2本以上注文すると1本500円になるという、うれしいサービスも。
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