マンションの資産価値を考える
「子どもたちが安心して遊べる中庭を~駐輪場改修工事~」
東急田園都市線「桜新町」駅から徒歩8分、閑静な住宅街に位置する「ペアパレス桜新町山桃館」では、平成27年6月、3年越しの計画が実現し、自転車駐輪場の改修工事が行われました。自転車があふれる中庭を変えようと奮闘された理事会の皆様に、改修への動機や実際に直面した課題等についてお聞きしました。
充分な駐輪スペースと安全性確保のために
既存の駐輪場はたった10台分。子育て世帯の増加や自転車の大型化などで必要な駐輪スペースの面積は増える一方でした。敷地内のいたるところに停められた自転車は、マンションの美観を損なうばかりか、通路をふさぎ、避難の際の障害にもなるのではと心配の種になっていました。
「子どもを安心して遊ばせていた中庭が自転車に占拠されている。“本来の姿に戻したい”と思いました。そんな時に、水を受水槽に貯める『加圧給水方式』から、直接水をくみ上げる『増圧直結給水方式』に水道設備を変更することによって、駐輪場の横にある受水槽を撤去できることになったんです。これでぐっと弾みがつきました」と改修の経緯について語ってくれたのは、理事長の細川さん。
検討の結果、受水槽と植栽の一部を撤去し、2段式の駐輪場を増設、収容台数を一気に4倍に引き上げる計画が決まりました。
改修にあたっての思わぬ障害も乗り越えて
しかし、いざ改修に向けて準備を進めていくと思わぬ障害が。駐輪場を増設するにあたって建築確認申請を行ったところ、建物自体の【既存不適格※】箇所が判明し、3階までの窓ガラスを耐火ガラスに変更するなど、新たな改修工事が必要になりました。こうした追加工事のため、当初の計画よりかなりの額の費用が必要に。
※【既存不適格】について
建築時には適法だったが、その後の法令の改正などによって、現行の法令に適合しない部分が出た建築物のことをいい、改築・改修の際、現在の法令に適合する仕様にする必要が生じる。
副理事長の南雲さんは「ここで、今まで滞納もなく計画的に運用してきた修繕積立金が役立ちました。一時金の徴収は不要、これで居住者の方々の賛同を得られました。さらに、同時期に行われた大規模修繕の足場を共有することで、工事の費用も抑えられました」と成功の要因について語られました。
居住者の意識の高さが役に立った
さらに南雲さんは「居住者の意識の高さも、改修をスムーズにしました」と続けます。「ここには、『自分は自転車を使わないから改修は必要ない』なんて言う人はいませんでした。自分の利益だけでなく、マンション全体の利益も考える。集合住宅で暮らす、ということの意味をわかっている方が多いんですね」。
こうした意識の高さは、日頃から居住者の皆様がコミュニティを大切にし、よい関係を築いてこられたからこそではないでしょうか。
理事会とフロント担当者の協力でスムーズに進行
フロント担当者は「居住者の方がとても協力的で助かりました。2回実施した居住者アンケートの回答率も高く、計画をスムーズにすすめられました」とふりかえります。理事の皆様からも「フロントの湯澤さんはテキパキと資料を集めたり、的確なアドバイスをしてくれた」と高評価をいただきました。
例えば、植栽をなくして塀を作る案に難色を示されていた方には丁寧に説明を重ね、植栽を半分残し背の高い木を移植することをご提案し、ご理解いただくなど、理事会と管理会社が協力して改修をすすめられていたことがうかがえます。
改修を終えて
また、理事長の細川さんは「公平さを念頭に、駐輪場の使用料を上段、下段でバリエーションをつけ抽選で場所を決めました。また、使用料を決めることで、利用者の意識を高めることにもつながると思います」と、円滑な運営にも意欲的です。
自転車がラックに納められ、すっきりとしたスペースを目にした子どもたちが「これからは中庭で遊べるね!」と目を輝かせていたのが印象的でした。
フロント担当者より
「理事の皆様のご尽力のもと、様々な障害を乗り越え工事が完了しました。私も、弊社が培ってきたマンション管理のノウハウをもとにプランや駐輪台数のご提案をさせていただきました。今後も、円滑な運営のためにお手伝いさせていただければと思います。」