マンションの資産価値を考える
「共用部排水管の更新工事を実施
 安全・安心を得て、資産価値も向上」

築年数30年を超え、
老朽化した排水管から漏水が

 グリーンプラザ八柱第2は、1984年に完成したマンションです。これまで大規模修繕工事などを計画的に実施してきましたが、築25年を過ぎたころから、専有部の給水・給湯管などに漏水が発生するようになっていました。専有部の漏水事故については、その都度、部分補修で対応してきましたが、2016年には共用部排水竪管(以下、排水管)の劣化による漏水が起こってしまいました。
 1階に住む管理組合理事長の恩田さんが異変に気づいたのは夕刻。洗面室の天井から壁に水が伝わり、水滴がポタポタと滴り落ちてきていました。すぐに管理会社である長谷工スマイルコミュニティの担当者に連絡、原因を調べたところ、排水管からの漏水であることがわかりました。
 各住戸の排水が流れ込む排水管には、鉄製のものが使用されていましたが、経年劣化で排水管が錆びて破損した箇所から漏水していたのです。そのまま放っておけば他の部分からも、いつ漏水が起こるかわかりません。早急に排水管の更新工事を行うことになりました。

『長期優良住宅化リフォーム推進事業』の補助金を活用

 そんなとき、長谷工スマイルコミュニティの担当者から提案されたのが、国土交通省の『長期優良住宅化リフォーム推進事業』の補助金活用でした。補助金対象の工事費用の約3分の1が補助されるこの制度を活用すれば、管理組合の負担は大幅に軽減されます。
 ただし、補助金は年度ごとの予算から拠出されるため、年度内の定められた期間に着工し、完成させる必要がありました。準備期間があまりない中で、居住者の理解を得るために、まず10月の定期総会で排水管の漏水状況を報告する資料を示し、排水管更新工事の必要性を説明しました。翌年1月に理事会を開き、工事を実施する方針を決定。2月の臨時総会で工事の実施が決議され、それから1週間ほど後に工事の説明会を開きました。
 工事の依頼先については、竣工時から30年以上の付き合いがあり、これまでの補修工事などの記録があること、工事後のメンテナンスも含めて信頼できることなどから、長谷工スマイルコミュニティに依頼することになりました。

補助金申請のための建物の既存
住宅状況調査(インスペクション)を実施

 『長期優良住宅化リフォーム推進事業』の補助金は、「いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う」ためのリフォームに対して適用されるものです。補助金を得るための条件の一つがインスペクション(建物の既存住宅状況調査)の実施でした。調査ではコンクリートの劣化を診断する調査や、住戸内の設備の調査が行われました。
 また共用部の排水管工事とはいえ、専有部の壁の一部を取り壊して排水管を取り替えることになるため、工事後の復元を考えてあらかじめ壁の状態を確認しておく必要もありました。そのため、工事に先立つ専有部の調査では、居住者の在宅が必要となりました。

※マンションにより、申請条件等は異なります。
平成30年度長期優良住宅化リフォーム推進事業HP

水を止めての工事に
居住者も一致協力

 こうした事前の調査が2週間程の期間で行われ、3月27日から実際の工事が始まりました。
 排水管の更新工事は上の階から、3フロアずつ進めていきました。老朽化した鉄製の排水管を撤去し、新しく劣化しにくい耐火性硬質ポリ塩化ビニル製の排水管に取り替えていく工事です。工事の間は、対象住戸の洗面・風呂・洗濯機・トイレ・台所の水は使えなくなります。排水の系統などによって水が使えなくなる日数は異なりましたが、各世帯2~8日間程度排水できない時間帯があり、しかも居住者は工事の日には在宅する必要がありました。工事の騒音もある上、各住戸で水が使えないという不便を我慢しなければなりませんでしたが、居住者のみなさんの協力のもと工事は無事に終了することができました。共用部の工事と同時に、希望者は専有部の給排水管の更新工事も実施しました。

適切なお手入れで、安心と
資産価値の向上を共に実現

 工事を終えてからは漏水事故の発生はなくなり、管理組合には、漏水の不安がなくなった、安心したという居住者の声も寄せられています。
 居住者一人ひとりにとって大切な住まい。長く、安心して、快適に住み続けるためには、適切な時期に、適切な手入れをすることが大切です。グリーンプラザ八柱第2の管理組合では、省エネ住宅のための補助金を活用した窓のサッシ交換工事を計画しています。サッシを断熱効果が高いペアガラスに替えることで、より快適なマンションライフを満喫できるようになります。ここでは居住者の協力で、そんな暮らし方が実現しているのです。

 

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